GRANT GREEN “STREET OF DREAMS” | - 2025/04/06
- GRANT GREEN “STREET OF DREAMS” BLUE NOTE 84253 (USA)
私にとって、なによりこのアルバムはレコード愛好家としてとても重要な作品である。 それはジャケ写(ジャケット写真)によるところが大きい。 上部にGRANT、下部にGREENとプレートが付けられた道路標識。 これはサンフランシスコにあって、グラント通りとグリーン通りの交差点であるのだが、私はジャズ愛好家として、このような見事な写真をよくぞ探し出して、ジャケットデザインとしたものだと感心すると同時に、どうしても現地に立ちこの標識を確認する必要があった。ただそうすべきだと考えたから。
10年程前、サンフランシスコに行き、在住のコレクターとして仲良くなった友人を頼って、この場所に連れて行ってもらったのである。 そして、この標識を眺めて抱き合って、思わず泣けた。良くぞ来たものだと。 この1961年頃の写真標識がもっと古い鉄板も熱いものであったそうだが、私が行った時2015年頃にはもう少し鉄板が薄い感じであった。 という看板の話である。
それで、作品であるが、看板の話だけで終わっては申し訳無い。 なによりメンバーが素晴らしい。 60年代のブルーノートらしい新主流に移っていて、Bobby Hutcherson(vib),Larry Young(Org),Elvin Jones(dr)の4人。 ライナーノーツの最初に、「Guitar and organ go well together」とグラントが言ったと書かれている。 新しいジャズは着実に変わって来ていた。かといって今日変わるわけではない、何かが少しづつ変わっていた。 ただ、この作品の録音は1964年、大体ブルーノートの発売順番からいうと4190番辺りが落ち着く感じであろうか。まあ、商売だから録音と発売はずれるもの。 メンバーのハッチャーソンはこのあと初リーダーを吹きこむ。ラリー・ヤングも絶頂を迎える。 エルビン・ジョーンズはコルトレーンよりほかの人と演奏したがっていたと言われている通り、ブルーノートの吹込みの方が楽しそうでもある。 一曲目の「I wish you love」はシャンソンのシャルル・トレネの曲で欧米では非常に評価の高い曲。 グラントもシンプルな進行と素敵なメロディで大変に素晴らしい。 当時の新しい息吹を感じさせる素晴らしいアルバムである。
|
|