BENNY GOODMAN “CARNEGIE HALL JAZZ CONCERT" | - 2025/09/27
- BENNY GOODMAN “CARNEGIE HALL JAZZ CONCERT 1938” COLUMBIA SL 160 (USA)
2LP アルバム 緑色のラベルのオリジナル。 1938年のカーネギーホールのジャズ・コンサートである。 こういう演奏は時代を越えて無条件に感動する。 発売が1951年であるのは、当日録音されていなかったのである、だがラジオ放送はあったので家人が自宅のテープデッキに記録していた。それが何かの拍子で50年になってから出て来たので、アルバムになった。 従って原盤としてのSPは存在しない。
内容について英文のライナーやネットの記事から参照し少々記してみる。 1938年1月16日、クラシックの殿堂カーネギーホールでついにジャズ・コンサートは行われた。 チケットは為替やら現金やら、事務所はお金の洪水であった。当日、とうに売り切れであったが、残りのチケットを求め非常に寒い日であったにもかかわらず、居ても立っても居られないファンが詰めかけた。 主催者側も苦慮しステージの端の方に椅子をセットしたりして、すこしでも客を入れる努力をした。
さて、コンサート開催にあたってグッドマンも力を入れており、同業者すなわちカウント・ベイシーとデューク・エリントン楽団にも出演を依頼した。ベイシーは参加したが、エリントンは断った、それは自分がこの後出演する野望があったからである。しかし、メンバーのジョニー・ホッジス、ハリー・カーネイ、クーティ・ウイリアムスを貸したのである。彼らの演奏の素晴らしさはしっかり聴くことが出来る。 私は、アルバムのどの演奏を聴いても感動するので、ここで一々書くことは止める。ただ一つの例外SING SING SINGの話だけは書こう。 曲は終盤の4面の3曲目で、次の曲で終わる所である
ドラムのソロから始まる、タンタンタタンタ タタンタタンタン、ジーンクルーパのドラム、これでいっぺんに心を掴まえられる。そこからタッツータ、タッツータとトロンボーンが実にカッコ良い。それからクラリネットが入ったりして、一通りソロ廻しをして、途中で終わったかのようになって、客の拍手も入り、そこから又続きが行われる。 私も一緒になって歌う「シング、シング、シング、シング、エッブリバディー、シング、シング....」。 この曲はドラムのタンタンタタン、の迫力は既に述べた。しかし、演奏中ちょっと面白い事が起きている。 コンサートは終盤に近付いていてメンバーはリラックスして来たらしい。 もう終わりという雰囲気がある、一度目はまだ始まったばかりであり、ソロ廻しが一通り終わったので、拍手をいただいたので、ちょっと静かさが一瞬あるだけで、これは 当然演奏は続くものであると感じられる。 しかし、終わりに近づく時があって、終わりだなあと思った瞬間ジェス・ステイシーのピアノがここから満を持したように始まる。すると観客がどよめく。 解説を読んで分かったのだが、グッドマンもエンディングに持って行ったらしいのだが、ジェス・ステイシーのノリノリの意志で突然ソロが始まり、グッドマンがエンディングの挨拶のマイクを取ろうとした瞬間であったので、驚いたグッドマンを見た観衆が笑ったのだという。 それで、俄然ハッスルした演奏がまたもや始まったというのだ。 いやいや、ロックのライブでクスリが聴いているギタリストの乗りが過ぎてエンディングに出来ず、またチャッ・チャッ・チャと始まってしまう感じと同じと言えば同じであって、観客に取って最高のプレゼントであることは間違いない。 こんなコンサートに行った人たちが羨ましい。 アルバムであるが、このアルバムはオリジナルとして2種類のものがある。ダブル・ジャケット2枚組のアルバム、もう一つはボックス入りの2枚組。ボックスの方は、当時アメリカでは贈答用にレコードを送るのが流行っていたようで、その為の豪華版と言える。したがって原盤はどちらとも言えないのである。 とにかく、ジャズの歴史的かつ貴重な大名盤である。 それと、音にうるさいマニアにひとつ。是非モノラルの針で聴いて頂きたい。 低音など相当な迫力が感じられるものである。
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