PRESTIGE ALL STARS “EARTHY” | - 2020/03/23
- PRESTIGE ALL STARS(ART FARMER-KENNY BURRELL) “EARTHY” PRESTIGE 7102
私が若いころから好きなアルバム。 私がこのアルバムを買ったのは、1975年頃であろうか。 まずお気に入りのART FARMERが参加していたから。ファーマーはプレステイジの多くのアルバムに参加していて、強すぎず、弱すぎずの上品さのある音色が気に入っていた。 内容も分からないまま多分傑作に違いないと思い米国のメール・オーダーのオークションで頑張って買った。 届いたレコードはとても綺麗で、毎日聴いていた。 ジャケットがコーティングで光っていて、黄色のラベルのNYCのラベルが嬉しかった。
その後、友人が家に遊びに来た時、これをかけて「これ良いでしょう」というと、しばらく沈黙して聴いていた友人がぼそっと言った。 「池田さんこのレコードが良いのはね、HAL McKUSICKが入っているからだと思うよ」と。 なるほどと調べると、曲も提供して、なんだか良さそう。 という話になって、また最初から友人と聴き直し、お互いに「素人受けはしないだろうけど良い作品だ」となったのだった。 それで次に購入したのが、TRIPLE EXPOSURE(7135)となったのは当然の成り行きである。
このアルバムの良い所は、まずアーシーというタイトルである。 アーシーと言うだけあって、ジャケットが石ころと土の写真である所。 世の中にジャズのジャケットは数あれど、何と言う事であろうか、まさか石ころの写真をそのままジャケットにしたのは少なかろう。 揃ったように丸い石、そこに砂を掛け、その写真の上の方に「EARTHY」と白抜きしてある。 考えれば考えるほど地味な写真である。 だが、アーシーとは写真の土なのであるが、オレのジャズもアーシーだぜ!と。 確かに50年代のハードバップのアーシーさが出ている。 A-1「EARTHY」はMALの曲、ブルージーで暗い曲調がいかにも彼らしいが、メロディーがカッコ良く、このアルバム一番のキャッチの曲である。 「I WOULDN’T」と「THE FRONT LINE」はHAL McKUSICKの曲で、ライナーによると、MINOR LAMENTと書かれているからマイナー調の哀歌か。なるほど哀愁を感じさせるハードバップの名演奏である。 あの頃の好きだった曲をもう一度聴くとサウンドはやや暗さがあるが、しかも元気があるという、不思議な曲調であった。 若さに暗さを引きずる当時の私のような若者には丁度よかったのだろう。 ここでのKENNY BURRELLもブルージーな雰囲気を盛り上げる。 そういえば、HAL McKUSICKのレコードは殆ど室内楽調だが、ここでも曲はそういう感じがあるものの、演奏となるとしっかりハードバップになっている。 これはやっぱりVan Gelderの録音に依るものは大きい、プレステイジの所以であろうか。 ジャズのレコードは面白い。 こんなテイストのレコードは、作ろうと思っても、もう作る事はできまい。
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