Audrey Morris “ Bistro Ballads” | - 2024/06/16
- Audrey Morris “ Bistro Ballads”X LXA-1028 (USA)
1956年のアルバムで超レア・アルバムである。 RCAのサブ・レーベル“X”で発売されたもので、私はかつて、日本ではほとんどお目にかかった事は無い。 彼女のピアノの弾き語りで、淡々と音を紡いでいる感じで、すぐ耳のそばで歌っているかのような錯覚に陥るサウンドには心が持って行かれる。 ベースにはJohnny Pate(ジョニー・ペイト)が参加してより音楽の質を高めている。 タイトル通りバラードの素敵な歌ばかりである、ジャズ・バラードのスペシャリストと呼ばれた片鱗を垣間見る事が出来る、バラード大傑作。 その後、Bethlehemから同年すぐに The Voice Of Audrey Morrisを発表する。これはMarty Paichのアレンジでナイス・アルバムである。 その後、彼女のレコーディングは途絶える。 噂によると、住んでいたシカゴではクラブが多く、ファンもいて仕事には事欠かなかったようで、レコード会社を付き合うのを好まなかった、という事であるが、あながち嘘でもなさそうである。
日本のファンに鳴りを潜めていたのが、85年、突如新録アルバムが発表され大いに驚かせた。 それも自費制作のFancy Faire RecordsからAfterthoughtsというアルバムで、弾き語りで、時にサックスも入ると言う趣向で、ファンに大好評であったが、既に廃盤である。
“Bistro Ballads”は、彼女のデビュー・アルバムで、結局、全盛期に作られた最高傑作という事になろうか。 ジョニー・ペイトはベース奏者というだけでなく、当時音楽ディレクターとしても有能で、シカゴのジャズ・シーンの立役者でもあった。
シカゴの良い時代に出来た傑作である。
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