HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。
  
ゴジラ | - 2015/03/24
- 歌舞伎町を通ったら、旧コマ劇の跡地にビルが建っていて、もう完成したのか?
その屋上に見慣れない物が。
近寄って行ったら、何とゴジラだった。 写真を撮ったのだが携帯だったので、あまり写りは良くない。 でも、一応紹介だけ。
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BENGT HALLBERG “BENGT HALLBERG” | - 2015/03/23
- BENGT HALLBERG “BENGT HALLBERG” PHILIPS P08201L (HOLLAND)
久しぶりに好きなアルバムが入荷したので嬉しくなってしまった。 このアルバムもまた海外買付に行くようになって知り、好きになった一枚である。 あまりピアノ・トリオは好んで聴く方ではなかったので。
スエーデンでジャズのレコードを探していると、よくこの人のアルバムに出会った。 その中でも、私にとってちょうどピッタリ来る演奏でもあり、ジャケットが好きなアルバムにもなった。 それに、またオランダでも時々見かけるので、不思議な一枚でもあった。 オランダ人のオジサンの言うには、演奏でオランダに来ていた時に、録音する話があったわけで、どうせフィリップス・レコードだし、スエーデンよりオランダの方が売れるので、そうなったと言っていた。 真偽の程は分からないが、きっと、そんなところであろう。 メンバーはスエーデンの仲間である。
演奏は一曲目の「Dinah」はちょっとユーモアを強調して弾む感じの曲調なのだが、それ以降はいたって淡々と、しかも、若干の緊張感と真面目さを漂わせた、誠に好ましい演奏である。 トリオだが時々ソロの部分もある、相対的に静かな良い演奏である。 仕入れして来たこのアルバムを試聴する時には一服という事にして、コーヒーを飲みながら聴いたものだ。
ジャケットがまた素敵なのである。 素敵って、別にデザインなどが素敵という事でもない。至って何でも無いし、手が込んでいるわけでもない。 たったひとつだけ、物語性が良いのだ。 それは写真の舞台が、多分クラブなのであろうか、演奏会のある昼間に彼が早く来て練習をしている。 真面目な彼は早めに来て練習をするのだ。 その時ちょうど、ホールを掃除していたオバサンがいて、それが掃除の手を休めて、モップに顎を載せて聴き入ってしまった、という一風景。 別に芸術的でもなんでもない。 だが、このジャケット写真を眺めながら、演奏を聴いていると、演奏と写真が不思議にぴっとりとハマって、私の心に大きな満足感がひたひたと押し寄せて来る。 このオバサンも仕事の手を休めて、思わず聴き入ったのも頷ける。 私など、顔も写っていないオバサンだが、この人早く仕事しないと夜の演奏会に間に合わないと気を揉んでしまう。 それが、ジャケットを見ていると、何と顔も写っていないのに、オバサンにスポットとが当たっているのである。 でも私には、オバサンが微笑んで聴き入っているのが判る。 「オバサン、流石に分かるね」と感心してしまうのである。 なぜなら毎日毎日、来る日も来る日もホールを掃除して、人の練習を聴いていれば、誰がどのくらいの腕前か、一目いや一聴でわかってしまうのである。 「オバサンは見た」という人であろうか。
実際、モデルを使って撮影したのかもしれない。 しかし、このアルバムだけは偶然だったかもしれないと私は勝手に思い込んでいるのだ。 しかし、良く考えてみれば、このジャケットの担当者は、相当アイディアを練っていたのかもしれない。 オバサンの顔をボカしているのに、ポーズを取らせていて、なおかつそこにスポットが当たっている。 オバサンによって音楽の素晴らしさを無言で語らせている。「あんた達、買って損はないよ」と。 しかし、主役はあくまで、ピアノの横の余った椅子にコートとマフラーを掛けた真面目そうな男、これこそベングト・ハルベルグだと。
こういうアルバムに出会うのであるから、ジャズって本当にいいなあ、と思うのである。
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評論家Nのこと | - 2015/03/22
- しばらく前のニュースによるとある評論家のN先生が亡くなったらしい。
それで彼とのヘンなイキサツがあったので、書いてみよう。四十九日も過ぎた事でもあるし。
ちょうど彼がマイルス本を出した頃なので、当店が開店した時期である。 私の知合いが、自からのブログに先生への尊敬と親しみを込めたつもりで「マイルスのブートCDブームの陰の功労者で、ブームを陰で操ったのは、きっと彼ではないか」というような事をやんわり書込んだ。 それを、本人がネットでチェックしていたらしく、驚いた事になんと本人から直接メールが来て、「問題ある書きこみである、すぐに削除しろと、また会って話がしたい」と。 勿論のことブログは削除し、待ち合わせの喫茶店に行くと「あなたのブログで迷惑を被った、ついては300万円支払え。また、誰がそういう話をしているのか教えろ」と。 それで、軽率だった事を詫び、迷惑を掛けた旨謝罪をした。 そういう話題になったのはハルズという店で、支払う金額は検討すると保留して帰って来た。
しかし、私が思うにネットの書込み程度の迷惑料で300万円等と言う金額は聞いた事がない。 逆に脅し、即ち「恐喝」と受け取った。
私は、マイルスのブートCD関係の関与について彼の存在は、決して無関係ではなく、当たらずとも遠からずどころでは無く、積極関与の疑いありと思っていたので、知合いの弁護士、司法書士とも話し合いチーム結成に動いた。 その結果、証拠集めが必要であるという事になり、私はブート屋からのCDの商品情報と発売日の書かれたチラシを店内から拾い集め、また彼が書いた本の日付を調査し、時系列にまとめ上げた。 すると、彼の書かれた本の方が,ブートの発売より早い事が多々あり、またジャケットの写真も自分の本に掲載している。 これは関与していたか、見逃していたか、いや、それどころでは無く、社会に情報を流すなど、ブート製造・販売を助長し、ブームを作る目的で煽った、という事が明白であると結論づけた。 それで、弁護士チームと相談し、訴訟があったとしても逆に我々が勝てると踏んだ。 私の知合いには、次回の会談には、その旨話をしても良いとし、逆に出る所に出ても当方には勝算はあると言っても構わないと。 それで知合いは再び喫茶店で先生と会い、我々の情報の内容を話した。 しかし、良心として30万ほどの金額を迷惑料として払うのはやぶさかではない、という内容を言った。 知合いは冷静沈着な人なので、しっかり伝えたようだ。 すると、Nは顔色が変わりさっと青くなって、突然席を蹴った。 正直な話、受け取ったらこちらは警察に脅しとして訴えるつもりであった。 金を受け取らなかった事は、彼の直観かもしれないが、賢い選択だった。 金を取って欲しかったのである。 まあ、それで終わった話であるが....。
話は、その後もなんとなく、おかしな糸を引いていた気がした。 私の知合いはフリージャズの評論家の清水俊彦と親しかった。 その清水俊彦が亡くなったあと、なぜか、評論家Nが思い出したように、他人のブログを借り、清水俊彦のかつてあった剽窃事件を取り上げ、清水俊彦を尊敬に値しない人間だとケナした。
それは明らかに、清水と私の知人が親しい事を知った上での、我々に対する挑戦であり、こういう事が頻繁に起こるなら、今後の状況を見ながらこちらも考えないといけないと思っていた。 それがつい最近、Nが亡くなった記事を読んで驚くと同時に、我々との問題も終焉を迎えた事を確信したのである。
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JOHNNY SMITH “PLAYS JIMMY VAN HEUSEN” | - 2015/03/21
- JOHNNY SMITH “PLAYS JIMMY VAN HEUSEN” ROOST 2201 (USA)
良い音楽である。 久しぶりに入荷した。ピアノ・トリオをバックにしたあっさりした味のギター傑作。 珍しいという訳では無いと思うのだが、なんだか久しぶりに聴いた。 最近は、どのレコードも状態の良いのは出会う事は困難になって来た。 考えてみれば、50年代に作られたものでもあり製造後60年以上も経っている訳で、珍品であろうと無かろうと、無い物は無い。
試聴をしてみると、良いねえこの人のギターは。 優しく語り掛けるような、ちょっと地味目のギター。 それでいて正確無比なメロディーの運びで、安心して聴く事が出来る。 俺が俺が、と言わないところがよい。
このアルバムで取り上げられた作曲家JIMMY VAN HEUSEN(ジミー・バン・ヒューゼン)という人。 ジョージ・ガーシュイン等の名前は常に目に付くし、どこかでよく書かれているのだが、この人の名前はとんと見ない。 所が、このアルバムを聴いていると、これも知っている、あれも知っていると有名曲ばかりで、しかも、私などジャズのスタンダードとして大好きな曲ばかりなのだ。 当作品中でも「Deep in a dream」「It could happen to you」「Polka dots and moonbeams」「Imagination」等々、私も大好きな曲ばかりが出てくる。 それなのに、この作曲家の名前はあまり表に出てこない。 不思議な人である。 ガーシュインの曲の方がパッと見が良い事はたしかだ。 しかし、こちらは聴くほどに好きになる。 このアルバムには収録されていないが、「Come Fly with Me」「Like Someone in Love」「Here's That Rainy Day」なども本当に良い曲で、人生の奥深さを感じさせる。 このアルバムでジョニー・スミスが取り上げたので、作曲者と演奏者の二人の、「奥深さ」が重なってしまったような感じで、そのまんま一歩引いたアルバム作りである。
こうした事を想いながら聴いていると、このアルバムは、鳴りの悪いスピーカで聴くと貧相な音になってしまう。 ギターが嫌いというジャズ・ファンが生まれてしまうのだ。
この音がしっかり鳴ってくれるスピーカーこそ良いスピーカーだと言えるし、また、鳴ってくれれば、こんな幸せな気持ちになれるアルバムもそうそう無い。
よい音楽である。
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おはぎ | - 2015/03/20
- お彼岸なので、おはぎを買って来て食べた。
先祖に対する気持ちでもある。
何しろ、私の信仰心と言えば、せめて先祖崇拝しかない。 そのせめてもの崇拝がおはぎを食べる事とは、ちょっと情けない気もするが、 まあ、仕方ないが、亡き父母を偲ぶ良い機会でもある。
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BILLY WALLACE “SOULFUL DELIGHT” | - 2015/03/19
- BILLY WALLACE “SOULFUL DELIGHT” NORMA NLP9502 (日本)
入荷したのでジャケットを眺めていて気が付いた。 確か以前も入荷したはずだと。 そうして、棚の下に放って置いたままになっていた物を引っ張り出すと、3枚になっていた。
これはイカン、さっそく聴いてみよう。 何しろこのアルバムはジャケットが地味だ。 日本のノーマというレーベルで作られたようだが、このシリーズはどれも同じ作りで、写真も色も地味でジャケットを手に取った瞬間、まるで再発盤かと思ってしまうような装い。 やや、残念じゃ。
だがこのシリーズは他にもいいのがあったはずだと引っ張り出すと、あらま、棚の中から出て来た。だが、中々のラインナップ。 ウチの在庫だけでも、JOHN WRIGHT(ジョン・ライト)、BUD POINDEXTER(バド・ポインデクスター)といった作品も出てきて、それがなんと、どれも音楽的には相当なレベルである。 再発盤ではなく、どうも新録のようである。 それならば実に勿体ないシリーズである。 聴く価値ありのジャズ・ピアノのシリーズ。
聴いた印象は、ジャズとしては超一流なのである。 こんな人が日本にいたら、さぞ持てはやされたに違いない。 ジャズ、ブルース、ソウル、黒人音楽のすべてが含有したサウンドで、ぐいぐい来るピアニストなのだ。 オリジナル曲も生き生きとして素晴らしい。 ベースも印象に残る、良いプレイヤーである。 こういうアルバムは、パット見より、繰り返し聴くほどに良さが伝わり好きになる。
音は良い音であるが、日本的というかやや大人目に作ってあるのがちょっと勿体ない。 もうちょっと聴き映えのある音というか、メリハリのあるサウンドにならなかったのかと思ったのだが、考えて見たらこれは高級オーディオで聴くと、かなりの良い音で聴けると思う。 そういう環境を見越してあるようなサウンドとでも言おうか。 我と思われる方は是非、試して見ると良いと思う。
思えば、我々はジャズが好きで、好きで、一生懸命に聴くという努力をしてきた。 そう言う努力をしないと、解らないレコードという物が沢山あって、我々はそれを乗り越えてきたとも言える。 今回のレコードを聴いて、まさにそういうレコードだし、そういうミュージシャンかも知れないと思った。 演る方と、聴く方の、双方が努力を要するアルバムっていうのも悪くない。
新品でかつ帯も付いて、既に廃盤。 その他、JOHN WRIGHT(ジョン・ライト)、BUD POINDEXTER(バド・ポインデクスター)も、右に同じ。
一枚 ¥1,600円(税別)
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GRENN MILLER “ON THE AIR” | - 2015/03/18
- GRENN MILLER “ON THE AIR” RCA-VICTOR RA-5801-20 (日本)
(グレン・ミラー大全集 − オン・ジ・エアー)
先日、クラシックのレコードが全集で56枚も入って来てしまって大騒ぎをしていたら、今度は、グレン・ミラーの全集も入って来てしまった。 一個ではあるが何しろ大きく重い。
20枚セットのボックスセット。当時の定価が36,000円となっている。 それに更に1枚、ボーナス盤がおまけに付いているから合計21枚。 40年の昔の録音と書かれているから、1979年頃に世界初の企画であったようだ。 ぶ厚い、解説書によると。 エア・チェックの録音となっているのだが、只のエア・チェックではなく、本人が録音エンジニアに依頼して、録音してあったもので、アセテートに刻んであった音質は大変良好。 彼は、多くの演奏を多くの放送を通して人気が上がっていったわけで、その量は大変なものだ。 大量のアセテートからそれを、この編集をした方々は大変な努力をしたことになる。 それも日本人が行ったと。 箱にはナンバーが打ってあって、616番」となっている。 帯だってついている。
考えたら、1039・40年の演奏ということは、今から75年も前の事。 ジャズの歴史も相当なものだ。 聴いていると、この人の演奏は、1939年なのに。本当に洗練されていたのだと分かる、 箱は経年変化で黄ばんではいるがいたって元気、じゃなくしっかりしている。
誰か、いりませんか? 映画、グレン・ミラー物語を見て、レコードを聴きませんか?
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金利 | - 2015/03/17
- 仕事中にファックスが来たので、オーダーかと急いで見たら、何の事はなく金融のチラシ。
くそっと思いながら眺めていると「低金利優遇」と美味しそう。 金利を見ると、4.6%だと。 うーん、確かに以前のサラ金の利息に比較するとかなり下がっている。 でもカッコ書きがあって(4.6%から8.6%)となっているから、きっと普通は後者の方の利息になるのだろう。 なんだかなあ。 チラシは思いっきり破いて捨てた。
ところで、当社も銀行から融資をうけているのだが、開店以来、ずっと新宿区の融資制度を受けている。 なにしろ金利が1%となる。 一時は金利ゼロという親戚も貸さないだろうと思えるような、美味しい時期もあった。
保証協会の保障も付くので、保証人も不要なのが良い。 全く不満がないのだが、保証協会というところが、保証料というお金を取っているにも関わらず、貸す枠を小さく小さくして来るのが、大いに不満である。 まあ、不景気なので私たちは想像できることである。 そんなものだ。
その一方で、金余りで巷にお金がジャブジャブしているのだそうだ。 大口の資産家には銀行も無条件で借りてくれというらしく、それらの億単位のお金を株に投資してまた更に大儲けという今の経済社会。 金本位制という用語を昔学校の授業で習ったが、今の経済は「現金本位制」である。 それを良い所取りで、安倍首相が景気は上向いていると言っても、我々、中小企業のオヤジ達には説得力はない。 良い話は超大企業やひとにぎりの金持ちの話である。 日本も小泉・竹中の最悪の時代から始まり、ついにアメリカのようになった。 くそっ!
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ブルーノートの音。 | - 2015/03/16
- モノラルの音の話があったので、ついでに以前、聞いた話。
日本製作のブルーノート盤は、キング・レコードの方が東芝より音が良いと言う話がある。
キング・レコードが、長年ジャズ最大のブランド・レーベル・ブルーノートと蜜月関係にあった東芝から、遂に権利を奪取した。 それで、送られて来たマスターテープを社員が聴いた。 そして最初に作られたサンプル盤、すなわちオリジナル・レコードとを聴き比べた結果、マスターとレコードの音質に著しく隔たりがある事を発見した。 これは一体どういう事かと、考えた人が調べてみると、相当コンプが掛かっていた事を発見した。 それで、どこがどのくらいかとやってみると、殆どの部分でコンプが掛かっていた。 そこまでやるかと思ったが、これがマニアの耳において、良い音だと認識されている。 それで、キングでもその音質を追随するためにやった事は、同じ場所で同じようにコンプを掛ける事だった。 バン・ゲルダーほどではないが、適確にやったらしい。 想像すると大変な作業である。
その結果、巷のマニアからキングの方が東芝より音が良いと言う話になったのだ。 チープな装置で聴くならば絶対、キングに軍配が上がる事は間違いない。 ブルーノ−ト自身がそうだったように...。 キング・レコードはエライ!
だが、高級装置で聴くと、東芝の方が自然で良い音だという意見もある事は、まさにそのまま、オーディオとはどういう事かという、事でもある。 面白い。
兎に角 今や、コンプの効いた音の方が、カッコ良く聞こえるようになった。より自然な音と感じられるのも一般的な評価である。 不思議である。
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TETE MONTOLIU “RECORDANDO A LINE” | - 2015/03/15
- TETE MONTOLIU “RECORDANDO A LINE” DISCOPHON SC.2135 (SPAIN)
私がこのアルバムを購入したのは、たしか1975年前後だったと思う。 某店に入荷し、ちょうど試聴している人がいて、私も横で聴いていて感心して購入に至った。 それで気に入って、毎日のように聴いていた。 ちょうど入荷した同国の「ENSAYO」レーベルから、何種類ものTETEのアルバムが入荷したので、ほぼ全種類購入。 どれも大いに気に入って聴いた。特にその時はじめてDUSKO GYKOBICH(ダスコ・ゴイコビッチ)の事も知り、それ以来そちらのレコードも買い集める事になった。 ヨーロッパ恐るべしと思った瞬間であった。
それで、このアルバムの事。 このアルバムは彼の作品の中でも、芸術的にして芸術的過ぎず、スピードも速すぎず遅すぎず、軽過ぎず重過ぎず、風情あり、緊張感ありと、誠にどの点をとっても絶妙なバランスの上に立っている。 バランス的に完璧なのだが唯一、若干暗さ、いや暗いのではなく、音に深さがある。 それで知合いに、ああ、これは目の見えない人の音だねと言ったら、本当にそうだった。 そんな所が、日本人の心にぴったりの作品なのだろう。
それに音の良さは格別なものがあって、どうも噂によるとこの時期、スペインには一人凄く優秀なカッティングの名人がいたらしいのである。 一人優秀な人が出ると、周囲が釣られて優秀になる例は世に中にはままある。 そういう事なのであろう。
それで喜んでいて、私のレコードのラベルは紺色だったのだが、その内に実は赤いラベルが最初だという話が広まった。 私は新入荷の最初に購入したはずなのに、オカシイと思っていたのだが、どうも二度目をプレスした時に日本にも入荷した事が想像できた。 一緒に入荷した、このDISCOPHONレーベルの他のレコードも、後になって分かった事だが、中には緑のラベルもあったりして、もうびっくりの連続。レコードの道は険しいと知らされたのである。
それで、赤ラベルの盤は若干重量もあり、なによりレコード番号が異なっていたので余計にびっくりした。 しかし、オリジナルに綺麗な物無しと言われる通り、出会うものみな、傷が多い。 それでも珍しいので満足していた。 その中において、今回のは本当に綺麗、こんな盤は初めての事。 喜んでいたのだが、B面に一つプレスミズ、その周辺でザーッという音が数回入る。 やっぱり綺麗な物はないのだと、思った。 でも、他の部分には全く問題がないので、この盤としては上出来ではなかろうか。
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