HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

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WYNTON KELLY “NEW FACES-NEW SOUNDS”
2019/11/22

WYNTON KELLY “NEW FACES-NEW SOUNDS” BLUE NOTE 5025 (USA)

あまりに綺麗なので、United Artistで再発されたものかと見てたら、オリジナル盤だった。
びっくりした。
ジャケットはまだブルーノートらしい華々しさは無く地味目な時代を感じさせるデザインで、なんだか宿り木のような植物というか、アメーバの触手のような絵柄である。もうちょっと何とかならんのかと思うのだが、今更60年以上も前の物にケチを付けるものではない。ハイ。

私はこの人のピアノが好きだ。
いかにもこれがジャズだと言うノリと喜びを感じるからである。
このアルバムは彼が20才の時の初リーダーである。
曲目がBlue Moon, Born to be blue, Moonlight in Vermont, There’ll never be another you などボーカルナンバーばかりを取り上げている。
当時かれはDinah Washingtonのバックを勤めるようになっていて、そのせいか、はたまた生まれついての才能か、相当歌心のある抑えた演奏で、感じが良い。もちろんその後の溌溂とした演奏ではない。しかし、私は聴いていて、今更でヘンな話ではあるが、この人は将来が楽しみな音楽家だなと思ったのである。
元気いっぱいに弾きたい19歳から20歳時の若者が押さえて弾くなど出来ない相談、しかし、彼は雰囲気を出す方に注意を向けたのであろう。
しかし、次のリーダー作はと言えば、マイルスやコルトレーンやロリンズなど幾多の、いや当時のジャズの主だった作品殆どに参加しているほどの活躍で、しかもそのほとんどはサイドメンの仕事でもあり、いかに頼りにされていたかという証明でもある、にも関わらず、自己名義は1958年頃からのRiverside,そしてVeeJayの作品まで待たなければならない

私はそんな人生のスピードというのか、完成度というのに感心してしまうのである。
なにしろ12歳という子供なのに、プロデビューし、裏ジャケのライナーに依ると15歳のときツアーに同行したとあり、その後も10代ながらR&Bバンド等大活躍であった。
当然、並みのプロより優れた演奏をしていたわけで、この初リーダーだってそう思えば同然の演奏だとも思える。
特にBlue moon や Born to be blueなど哀愁を感じさせ、しかも、スイング感のある好演奏である。

ところで、彼は身体的な問題も抱えていて、39歳で亡くなってしまう。
なんとも勿体ない話である。
早熟なだけ死もまた早くやって来たのか。

しかし、ウィントン・ケリーのピアノは良いなあ。
ジャズ時間の流れで行くと、Red Garlandの後を引き継ぐピアニストだなあ。

HELEN MERRILL “MUSIC MAKERS”
2019/11/21

HELEN MERRILL “MUSIC MAKERS” OWL 044 (FRANCE)

かつて、レコード屋でこの新譜を購入して家で聴いた時の感動は、今も私の脳裏にある。
当時、フリージャズのプレイヤーとして絶頂のレイシーと組み合わせる事など、誰が考え付こうか?
見事な音楽センスであった。
アウルというレーベルの、他の作品にもどれもセンスの良さは滲み出ている。
そういう作品群の中にあって、彼女の前作の「No Tears No Goodbyes」と当作品の出来の良さは群を抜いている。
ヘレン・メリルの音楽性をこれほど新鮮味のある作品に作り上げるとは。

冒頭の「Round Midnight」暖かくてハスキーな声が静かに流れだし、round midnight〜と一息ついた所に、レイシーのソプラノがふわっと静かに入って来る。
レイシーはモンクの音楽性に関してはモンクよりモンクらしい解釈を示す。
主旋律は彼女が歌うが、副旋律をレイしーが奏でそのままソロのインプロヴィゼーションで進行し、彼女にテーマを渡す。
彼女の歌においてもこれほどのムードしかも上品なムードの実力を示した歌もないが、モンクの曲でこれほど素敵な演奏をしたレイシーも又見事である。求道者の求道者たる所以でもある。
そのままのイメージで次の「Sometime I feel like a motherless child」になる。
こうして聴くと、レイシーのソプラノの上品さが心に沁みる。

彼女の声は弱々しく歌っているのに、他の楽器に決して負けていない。
声の真の強さがあって、これは他人は真似が出来ないところでもある。
悲しい所や弱い所だけれど、ただ弱くなってしまうのではない、しっかり強さが底にある弱さや悲しみ、決して腰砕けの音の弱さではない。

B面は打って変わって、グラッペリの伴奏で変わりようが面白く、しかも、違和感が無い。
ジャズとはスイングでもフリーでもやっぱり同じジャズだと気が付く。

この作品を聴いていて、本当に心に音が沁みてきた。
タイトル通り、正に音楽を作る人たちの見事な仕事であった。

領収書
2019/11/20

ポーチの中が一杯に膨らんでしまい、私はこれほどお金持ちかと中を調べたら、病院だけの領収書の枚数の多い事。
今年一年で、どれほどあるのかと思わず写真に写してしまった。
奥に置いたCD5枚ほどの厚さである。

ガンになど なるものでは無い。
ずっと治療が続くのだから。

桜を見る会
2019/11/18

国会でサヨク政党が桜を見る会がケシカランと詰め寄った。
テレビを見ていると、市民の目には、自民党がケシカンという風に取れる。

しかし、民主党政権時にも鳩山首相主催で開いていたと私は思うのだがいかがかな?

国会で国家的な問題点を論じ合うのが国会議員の仕事。
いったい今の国会は大きな議題が浮かばないほど、平和なのであろうか?

 

RED GARLAND "ALL KIND OF WEATHER”
2019/11/17

RED GARLAND "ALL KIND OF WEATHER” PRESTIGE 7148

「ALL KIND OF WEATHER」、少しづつ寒さが増しクリスマスが近づいた今、ちょうどお誂え向きのアルバムである。
今日は暇で、次回の入荷分を店で試聴していたのだが、こういうのを聴くと、たちまち昔の僕に戻る。オリジナル盤で聴いていると本当にこのアルバムが好きになる。
いかにも50年代を感じさせる中域が厚いサウンド。
特記すべき事だけどガーランドの音は、理由は知らぬが、Prestigeレーベルの時が最も光っている。
ブロック・コードの音や、なぞるメロディの音の流れは抜群で、ギュン・コロンと響きが入った所が良い。

私も初めて聴いた時には、もう!こんなレコードがあったのかと驚いた、サウンドなのである。
サウンド一つで聴き手の心を鷲掴みにするミュージシャンである、いや、レコードである。
ところが、オリジナル盤でないとこの感覚が出ないのが厄介でもある。

テーマとして天気にまつわる曲ばかり集めたアルバムは、そのジャケもまたデザインが天気に関する単語を並べ、数字は温度、湿度などであろうかタイプ打ちされた紙を写真に写し、大きく引き伸ばしてある。
上部を白くした所なども、なかなかの出来映えで、それがコーティングされたジャケットになっていると素敵で、コレクター心がくすぐられる。

録音は58年。この後は彼の録音が急激に減って行く最後の光り輝く時期である。
何しろ、同時期に、MOODSVILLEのトリオを録音した直後、11月27日、メンバーは(ニュー)オール・アメリカン・リズムセクションと呼ぶところの、Red Garland (piano)、 Paul Chambers (bass)、 Art Taylor (drums) の三人組で演奏に悪い所など一つも無く、安心して聴く事ができる通、のジャズである。

演奏は、最初から軽妙で、スローバラード「Summer Time」や、嵐が来そうなのにクールな「Stormy weather」などイケル演奏があって、B面にひっくり返した冒頭の「Spring will be a little late this year」が抜群に良い。
淡々としたミディアムテンポで、悲しくて私の春はまだ来ない、だから、今年の春はちょっと遅いだけと、健気に、ちょっと遅いだけだからと言い訳して、傷ついても気取っている心の淋しさを、曲調に巧く出ていて、しっかり風情が伝わる。
そして、これから冬に向かう季節柄の「Winter Wonderland」。
実に可愛らしいクリスマの曲である。
例のコロン・コロン・サウンドがいい。

人それぞれだから、あまりオリジナル盤がどうのこうのと言うつもりはないが、このアルバムなどはちょっとこだわってしまう。

英国連邦
2019/11/16

この前のラグビーワールドカップでは、イングランド、ニュージーランド、南アフリカに並びウェールズなど
、ほとんどが、英連邦王国の国々ばかりであった。もちろんカナダ、オーストラリアもそうである。
準決勝に残った国では、フランスと日本を除けば皆英国連邦である。
世界大会というものの、しょせん英国連邦の中の話でもある。

普段は国家として認められていないウェールズやイングランドやスコットランドがラグビーになるとイギリスの中に入らないんだよね。
面白いね。
だったら、早く独立したらよいのだが、植民地化の早い段階からイギリス人が大量に侵略してきていて、まるで中国人に侵略されたチベットのような話である。
そこに入り込んだ人たちが、経済的にも抑えており、さらに独立反対派に回るので実に厄介な話でもある。

しかし、今回のワールドカップのおかげでいかに英国の領土が大きいか理解できたことであろう。
イギリスという国は相変わらずひどい国だ。

ジャズ
2019/11/13

ジャズのサウンドはホットで、ビートに力はある、また、その中にはクールなものや影があるのだ。
陽気な中に、また悲しみがある。
一言でいえば、我々が「ブルース感」とよんでいるものである。
聴いていてそんな気持ちにさせられる所が、ジャズって良いなあと思える瞬間である。

20世紀初頭ニューオリンズにおいてニューオリンズ・ジャズが確立して以来、ディキシーランド、スイング、ビバップ〜ハードバップ、フリージャズ、その他小さな細分としてPOPジャズ、ジャズ・ロックなど、まあ、黒人が演って、白人が儲けるという事であっても、常に新しいジャンルのジャズが興り、それぞれ批判がありならが、困難を乗り越えて続いてきた。

以前も書いたが、ガレスピーがBOPをやらなければ、ジャズが楽しかった、という意見もある。
またパーカーはBeBopについて訊かれると「我々の音楽は新しい音楽であって、ジャズではない」と語ったというが、しかし、歴史的にもジャズとして認識されてきた。
フリージャズは70年前後、勢いよく燃え上がり特に欧州などで猛威を振るった。
果たしてこれがジャズかという意見もあり、ベテランのファンが心配したものである。
しかし、演奏者本人がジャズだというからジャズで良いと決めざるを得ない事態でもあった。
ところが、あっという間にフリージャズの力が衰退し、行き詰まりを見せた時、後追いのミュージシャンがまた4ビートに戻って来たのは興味ある現象であった。
勿論今でもフリージャズは存在する。

さて21世紀になったジャズは、演奏がまるでクラシックのようでもあり、そうでなければまるでポップスの演奏のようでもある。CDの綺麗な音というのか、硬い音質で聴かされると、まさにクラシック音楽である。
それでもジャズである。

時代の流れと言えばそれだけの事でもあるが、キース・ジャレット以来、すっかりクラシックの音楽に取り込まれてしまった感があり、クラシック出身者たち等等により、一手法としてジャズの曲を取り上げたり、ジャズの曲を分解し、それを自分のオリジナルとして演奏するようになった。
近年のジャズ演奏家もヨーロッパ系の白人、それに東洋系がかなり多くなった。

ヨーロッパ系のジャズばかり聴いていると、従来のアメリカのジャズを聴きたくなる。
クラシックの中に住居を移しつつあるジャズという綺麗な音楽を、どのように解釈したらよいのか、と思う事もある。それは私だけであろうか?

勿論ジャズは変わって行くもので有ることは百も承知の上の事。
いつまでも、昔のままでいろと言うつもりはない。

50年代の頃のあの優れたレコードの音が、やっぱりいいなあ。

BASSO-VARDAMBRINI SEXTET “EXCITING 6 “
2019/11/09

BASSO-VARDAMBRINI SEXTET “EXCITING 6 “ GTA JA603 (ITALY)

随分前に日記に書いたと思うが、まさか10年分遡って探すのもいかがと思い、書くことにした。
何年ぶりであろうか、久々に好きなアルバムの入荷である。
実は私、今のところクルマの中で聴く音楽がこのCDなのである。

かつて私にとって、このGTAレーベルは特別なもので、何しろSteve LacyのSORTIEとか,MalWoldronのアルバムが出されている会社であって、我々マニアには幻の名盤のレーベルで、かつフリージャズ専門のレーベルだと思っていたのだが、こんなイタリアン・ハード・バップのナイスな一枚が発売されていて驚いた。

イタリアにも買付に行くようになってから、クラブ・ジャズの名盤として教えられ聴いてみると、結構、軟弱そうな音楽でありながら、どこか洗練されていて心地良く、愛聴盤になってしまったのである。
米国西海岸と東海岸の中間という雰囲気で、適当に柔らかく、軽めのリズムが良い、耳当たりが良い。
今となってはイタリアン・ジャズの中でもトップクラスに好きな一枚である。
何よりメンバーが良くて、羅列するとGianni Basso(ts)、Oscar Valdambrini(tp)、Renato Sellani(p)、Giogio Azzolini(b)、そして、トロンボーンのDino Pianaいう当時のオール・イタリアン。
特にディノ・ピアーナが入った時は歯切れのよい低音のいい味が出る。
全曲 捨て曲なし、A面もB面もどちらもイケル珍しいアルバムである。

タイトルが「エキサイティング・シックス」だと、まるで日本の煙草の「マイルド・セブン」と同じようなネーミングである。
思えば70年代だったか朝日新聞の記事、当時私も正義に燃えたやや左寄りで朝日新聞の読者だったのだが、その朝日新聞に日本の英語はハチャメチャで煙草の「マイルド・セブン=柔らかな7」とは、そんな英語はありえないと外人がケチを付けて、それが日本人として恥ずかしいのだ、と記事になっていた。
そんなもんか?と思っていたら、今思えばイタリアもそうだったか。
朝日新聞的に言えば「興奮の6」というのは、やっぱりオカシイのか?いやいや、ネーミングなのだから別にオカシクナイのだ。なんでも日本にケチを付けた新聞がオカシかったのだ
いや、今となっては素晴らしい英語である。

「興奮の6」はカッコ良い「6」だぜ。

営業案内
2019/11/07

今日から2週間ほど、一人が買い付けに行っております。
従いまして、私一人の店番になってしまいますので、1時間早く閉店いたします。
あしからず


  閉店時間   20時00分

好きなフォークのアルバム
2019/11/07

フォーク系・英国トラッド系のアルバムで私が好きなもの。
Sandy DennyというIslandレコードから出たアルバム。
それからBridget St John “Thank You For..” (Dandelion) 1972というアルバム。
それに、Judee Sill(ジュディ・シル)のJudee Sill (1971)と、Heart Food( 1973)いづれもAsylumレーベルの2枚。
ただ、Sandy Dennyのアルバムはしばらく前に、勢いで売ってしまったのだけど。

今日も、しばらく聴き入っていたのだが、売るのを止めることにした。
私はいったい、なぜこれらのアルバムを持っていたのかと考えてしまった。
生きる辛さとはこういう事だと教えられた気がして。
色々あっても、だけど、生きなさいよ、行きなさいよ、それから逝きなさいよと言われているような気がした。
なんだか、今の私には必要な歌だなあとしみじみ思う。

私はジャズの音楽ファンだから黒人の苦しみ・悲しみまたは逆に生きる喜びなどの歌を通して、人生を学び、また心の支えにしてきた、例えばLouis ArmstrongのWhat a wonderful worldやらBillie Holidayなんかの歌を。
だが、生きると言う事は.... とどのつまり白人であろうと黒人であろうと生きることの大変さはみな同じなのだ。 勿論黄色い人間だって。
その人の人生に現れる、また直面する現象は違えど、人は心の苦しみから逃れられない。
だからこそ、世の中を悪いと思わない事、受け入れる事、そのままの人生で素敵だと思う事だと、と思わせてくれるアルバムなのであった。
ある意味では宗教的でもある。
ということで、ジャズでは無いが、今でも聴きたくなる時があるアルバムであった。

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