HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。
  
GEORGE ARVANITAS “SOUL JAZZ | - 2017/11/10
- GEORGE ARVANITAS “SOUL JAZZ” COLUMBIA FPX 193 (FRANCE)
さて、これぞナイス・アルバムの入荷。 これほどの良いアルバムはそうそう無い。 かつて、こんなレア盤の入手は絶対に叶うものではないと友人たちと話していたことがあるほどのレア盤なのである。 しかも、まるでアメリカのジャズメンが演奏したもののように思え、これがフランス人の演奏だと言われて驚いたものである。 ちゃんとブルース感覚も持っているところが素晴らしい。
このアルバムは1960年6月22日と24日に録音されたと裏のライナーに記載されている。 発売は1961年だという。 61年と言えば、日本ではアートブレイキーが初来日をし、テレビでも私は正座をして鑑賞したのである。 ようやくハードバップの到来である。 その同じ頃、フランスでは完璧に手の内に入れてしまった、フランス・ジャズメンのこのような演奏があったことは驚異でもある。 そのジョルジョ・アルバニタスはフランスきってのピアノの名手。フランソワ・ジャヌーはテナーサックスでトップクラス。ダニエル・ユメールもフランスを代表するドラマー。 ベルナール・ヴィッテはトランペッターだがフランスのフリージャズにおける重鎮となる。 そうなのだ、彼らは多かれ少なかれフリージャズの波の中で、あるいはフリージャズの牽引役となって、フランスのみならずヨーロッパのフリージャズ運動の中心的ジャズメンとなったのでもある。
ここで聞かれる音楽はまさしくハードバップである。どこをどう取ってもフリージャズに行く人には見えない。 所が、あっという間に彼らはフリージャズに突入していくのである。 もちろん彼らのみならず、ヨーロッパにおいては当時のジャズメ達が「最新の音楽とは」と求めフリージャズの影響の中で生きていくか、それともロックの影響を受け入れるか、はたまたハードバップのままで行くか悩ましい人生を送るのであるが、ここにいる彼らは迷うことなく前衛音楽を模索する事となり、まさにベルナール・ヴィッテなどは、FUTURAレーベルにLa Guêpeという俗称「昆虫」などと呼ばれる、時代を代表する前衛力作を残すに至る。 私などヴィッテという名前を聴くだけで、かつての前衛ジャズのレコードを求めていた頃を思いだし、血湧き肉躍るのである。
しかし、これほどのサウンドが聴かれるとは大した物である。 CDなどの再発物とは違うなあ。 アルバニタスはパウエルを向うに回して見事、それぞれがホットできちんとしたサウンドを聴かせる。 大した人間は、やっぱりその若い時にも大した作品を残すものだと、甚く感動したのである。
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ALCEO GUATELLI “SEXTET” | - 2017/11/09
- ALCEO GUATELLI “SEXTET” ASTRAPHON Y.1802 (ITALY)
大変、珍しいレコードの入荷。 しかも、これは 7インチ盤(EP)なのである。 イタリアならではのレア盤で、過去に一度だけ仕入れたことがあるが、もう10年も前の話である。 買付にイタリアにも行くようになった時、現地で知り合ったマニア兼レコード関係者に見せられた。 こんなジャケットは初めて見たので、なんだかプログレ・ロックの音楽かと思い「これは興味がない」と断ったら「お前後悔するぞ、これは立派なジャズだ」と言われ、渋々聴いた所、「あれまあ!」という事になった。 確かに、ジャケットに似合わぬ、なんと立派なイタリア・ハードバップ・ジャズなのである。 しかも、ジャケットにメンツが何も記載がない。 一体なんだい、こんなレコードは? 彼の話によると、このEPはイタリアでも大変珍しいもので、メンバーは書かれていないが、テナーサックスのERALDO VOLONTE(エラルド・ボロンテ)、トランペットのSERGIO FANNI(セルジオ・ファンニ)が参加したSEXTETなのだと。
なるほど、良いのも当たり前だと納得したのである。 しかし、イタリアはレコードが高いので、レコード屋泣かせ。 だが、黙って帰るわけには行かない、そこは男の意地でゲットしたのである。 そして今回は、久しぶりに仕入部長が持ち帰った逸品と相成った。
確かにメンバーは、この3人以外は判らない。 当時、このEPの前のオーナーが例のジジ・キャンピだと言う事で、確かに訊いて紙に書いて持ち帰ったのだが、そのまま、どこかに紛失してしまった。 残念なことをしたものである。 まあ、その内にまた分かることもあるであろう。
演奏は58年頃らしく、ジャケットは素朴な作りである。 曲は「Falling in love with love」と「Improvviso」の2曲。
世の中にはレア盤はあるものだ。
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BUD SHANK “JAZZ AT CAL-TECH” | - 2017/11/08
- BUD SHANK “JAZZ AT CAL-TECH” PACIFIC JAZZ PJ-1219 (USA)
このアルバムは久しぶりに聴いた。 当店でもあまり入荷のないアルバムなのだろう。 それほどレア盤とも思わないのだが、きっと縁の薄いものなのか、それともレア盤なのであろうか。 まあ、BUD SHANK(バド・シャンク)のアルバムは沢山あるから、その中ではあまり売れなかったものか?
さて、このAT CAL-TECHとはカリフォルニア工科大学でCalifornia Institute of Technologyの略称である。 ジャケットがアカデミックな雰囲気を持たせているのはそのせいか。 米国盤のライナーに1956年1月19日深夜2時にまでホットな演奏があって、パシフィック・ジャズにおける録音もあったと書かれている。 そのライナーはなんと大学の学校新聞に掲載されたものであると。 当時の若者の音楽の熱狂が伝わる。
もちろん演奏者はBOB COOPER,CLAUDE WILLIAMSONなど皆白人プレイヤーばかりである。 演奏は西海岸らしいクールなサウンドであるが、ライブのせいか、熱気にあふれていて、ある意味ホット・アンド・クールと言えばよいか。 いつもクインテットで、ともすれば室内楽に終始してしまいそうな西海岸のジャズがここまで、元気溌溂な雰囲気を見せたのも珍しい。 録音もライブなのでむつかしいところなのに、ドラムもバシッと決まって、良く雰囲気を撮ったものだ。 音楽センスの良さが表れた素晴らしい演奏で、久しぶりに聴いてこんなに良かったかと再認識した。
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石原裕次郎 “ノスタルジア“ | - 2017/11/06
- 石原裕次郎 “ノスタルジア“ Continental(テイチク) CO−1
先日、テレビ番組「YOUは何しに日本へ!」という番組に、図らずも出演させていただき、人生の良い思い出になった。 その中で、大貫妙子のレコードを探しているアメリカの青年が、ふとこの裕次郎のあるアルバムを手に取り「僕もこんな男になりたい」と言い、周囲を笑わせてくれた場面を私も見つけ、ああ これは何かの時にこのアルバムの事を書こうと思っていたのだ。
石原裕次郎がジャズを歌ったとか言われても別にジャズという訳でもない。 美空ひばりのジャズというのも別にジャズという訳でもない。 もちろんバックはアメリカのそうそうたるメンバーである。 しかし、彼もしくは彼女は英語の歌を歌ったに過ぎない。 しかし、大切な事は彼らがジャズのスタンダード・ナンバーをレコードの中で歌った事に意味があるのだ。 いつも歌謡曲だけではなく、アメリカのスタンダード曲もやってみようと思った、それは、日本人のファンの中には反感を持つ人たちもいて、決して売れることのないアルバムだと言える事なのだ。 それでも、演った事に冒険としての大きな意味はあるのだ。 彼も彼女も得るものは大きかったと思う。
ところで、裕次郎の良さは何かというと、声が良い。 珍しく素晴らしい声の持ち主であると思う。 スターと呼ばれる俳優・歌手は数あれど、裕次郎ほど魅力的な声の持ち主はいない。 聴いた瞬間、好きになってしまう声だと思う。 兄弟の慎太郎だって背も高かったし、良い男だったけれど、何といっても観客の耳からス−ッと入ってくるスター性は裕次郎はダントツである。 故に 歌を歌っても 映画のセリフでも素人臭くても、なんとも気持ちがよい。 そういう歌い手のアルバムだもの、聴いていて悪い事は一つもない。
しかし、良い男だね。 裕次郎ほど映画の中でもアルバムの写真でもたばこの似合う男もいない。 いつもグラスを持っていて。 裕次郎が亡くなってちょうど30年か? 小樽の裕次郎記念館も閉鎖と聞いた。 ああ、過ぎ去り日の哀れさよ、時の流れの虚しさよ、人の記憶の残酷さよ。
せめて「As time goes by(時の過ぎゆくままに)」でもお聴き頂きたい。
https://www.youtube.com/watch?v=n8AtJstV44k
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ここの所.... | - 2017/11/04
- 私、家では疫病神と言われている。
なんでも私が家から通うようになって以来、交通事故はあるは、家の中の物が色々壊れるは、昨日はついに猫が二階の手すりから落下。 後ろ脚を2か所骨折するに至り、もう我慢ならんと言われてしまった。
貴方の周囲は、いつも何かが事件が起きるのかと、責められてしまった。 非常に気が重い。
確かに色々事件が起きる。 猫が落ちたのも、何かがあると。
私としては、悪い「気」を持っているとは思わないのだが、周囲には悪いらしい。
なんだかなあ。 早く人生が終わった方がいいような気になってきた。
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BUDDY COLLETTE “THE SOFT TOUCH OF BUDDY COLLETTE” | - 2017/11/03
- BUDDY COLLETTE “THE SOFT TOUCH OF BUDDY COLLETTE” MUSIC LPM2095 (Italy)
久しぶりに入荷。 あまり売った事の無いレア盤である。 何しろイタリアのミュージック・レーベルと言えばほとんどがレア盤で、しかも、高額盤で当たり前のことなのである。 その珍しさの凄さと言ったらトップ・クラスの珍盤なのだが、このアルバムはそれほどの値段ではなかった。 それは、ストリングスばかりでなく、内容がやや室内楽の雰囲気を醸し出しているからである。 他にも室内楽的なアルバムは多々あるのだが、まず一曲目がまるでクラシックのようで、しかもそれが本人の作曲なのである。 こういうのは大体はジャズファンには受けない。 と言うものの、2曲目の「Slavic mood」となるとDusko Goykovichの哀愁のトランペットの独壇場。 ダスコのSlavic moodの中でも上位に来る出来、これだけでも買いと言いたい演奏である。
まあ、ソフトタッチと言うからには、こういう音楽である。 「Skylark」 「Everything Happen To Me」「Stella by Starlight」などコレットのフルートとアレンジが聴きどころでもあり、共演者のレナート・セラーニの卓越したピアノ、ジァンニ・バッソの珍しいクリネット演奏、フランコ・チェリの奏でるギターの優しい音色など、イタリアならではの優しさに溢れたジャズの聴きどころは多い。
また、作品の少ないコレットの中でも、相当練った作品でもあり、イタリアで作ったレア盤である。 彼の顔を大きく写したジャケットも秀逸。 チャンスがあれば聴きたいものである。
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SONNY ROLLINS "WHAT'S NEW" | - 2017/11/02
- SONNY ROLLINS "WHAT'S NEW" RCA VICTOR 430.527S (FRANCE)
(Don't stop the carnival)
以前にも書いた。 ロリンズの「DON'T STOP THE CARNIVAL」の話。 かつて、ロリンズ・マニアの友人たちと話をしていて、ロリンズの最高傑作は意外にも「DON'T STOP THE CARNIVAL」では無かろうかと。 意外にもこれが、あっと驚くダークホースの大穴だと、いう結論に至った。 すなわち、これほど豪快でおおらかな彼らしい人の好さが出た曲の演奏は無いのでは無いかと。
というわけで、私もこの曲が大変気に入っている。 しかし何という事か、これが米国オリジナル盤に収録されていないという体たらく。 それで、かつては日本盤にしか収録されなかったとの噂が立ち、みな日本盤を一生懸命探したものの、そこはそれ蛇の道は蛇、実はヨーロッパが最初だったという話に落ち着いた。
以来私もヨーロッパ盤を探したものだが、結論から言えば、62年と思われる製作でリリースされたものが3種類あって、まずドイツ。 これは番号がPM-2572で米国と同様である。間違いなく同時期のものであろう。 それから英国、番号が忘れたが「7524」とだけメモがあったが正誤不明であるが、フリップ・バックのジャケットであるから多分間違いなかったと思うがこれも62年だった記憶がある。 それからフランス盤、番号が430.527となっているのだが、62年である。 面白い事に、ドイツ盤はたしかGEMAとBIEMの両方記載されていた、 フランス盤はBIEMだけである。 まあ、ドイツが中心になってフランスとイギリスにテープを送ったかもしれないが、ほぼ同時期の発売であったことは間違いなさそう。
故に、米国とヨーロッパ盤、日本盤を持ってコレクターとしては初めてオリジナルを持ったと言える。 厄介な作品である。
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LOU DONALDSON “BLUES WALK” | - 2017/11/01
- LOU DONALDSON “BLUES WALK” BLUE NOTE 1593 (USA)
久しぶりにオリジナル盤のサウンドを聴いた。 やっぱり、こういうのを聴くと私のような、古いマニアは心に来るものがある。 こういうブルース色があるところに、ファンキーが流行ってきて、ちょっとずつ変わっていく所の最初の辺りの面白さであろうか。
LOU DONALDSNはパーカー系のアルト奏者であるが、HORACE SILVERと同様、あっという間にFUNKYになった人である。そして多くの作品を連発していくのである。 このアルバムは、そのハードバップとファンキーのちょうどど中間を歩いている真っ最中である。 実に面白い作品である。 ピアノはいつものHERMAN FOSTERで、コンガにRAY BARRETTOを起用している。 故に、ファンキーなナイス・サウンドになっていくんだな。 その辺りは、サウンドは既に4000番台に手が届いているところである。
70年頃、私はちょっと敬遠したアルバムだが、友人の中にはこれぞブルーノートだと主張して、愛聴していた人もいるのだから、人の好みは千差万別である。 と言いながら、オリジナル盤を入手して以来は、私も愛聴盤になった。 ま、日本盤の時は、どうでもいいアルバムだが、オリジナルとなれば別、そういう事である。 音が違えば音楽も違う、まあ、仕方がない。
LOU DONALDOSNのアルトは良く歌い、ブルーノート初期のあのART BALKEYとのBIRDLAND1集・2集の頃のサウンドを彷彿とさせ、しかも洗練度が増して、非常に結構である。 なにより、ファンキーという、ジャズにおいて最もカッコ良いと思うワードの正に奔りなのだから。
更に、このジャケットの見事な出来。 公園の木々の間を歩いてきた、一人の青年、左手にサックスのケースを持って、胸を太陽に向けて歩いている。明るさや積極性が見えて非常に良いポーズである、 来ているコートは若干大きめだが、それは愛嬌というもの、それもファッション、イカス。 そして、紙面全体を薄いブルーノートカラーのブルーにしてある。 これぞ、「ブルース・ウォーク」だと。 この青い色の印刷の見事さはオリジナルのジャケットのコーティング・カバーを通して見事に表現された。 良いジャケットで、完璧である。
もう、仕方がないよねえ。
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JOHN COLTRANE “THE JOHN COLTRANE QUARTET PLAYS(CHIM CHIM CHEREE) " | - 2017/10/31
- JOHN COLTRANE “THE JOHN COLTRANE QUARTET PLAYS(CHIM CHIM CHEREE) IMPULSE A-85 (USA)
今回の入荷は THE JOHN COLTRANE QUARTET PLAYS というのだが、それではわかりにくいので、通常は「 CHIM CHIM CHEREE」という。 1965年の作品である
1965年辺りは彼に取って、非常に多忙かつ音楽的にも頂点を示す重要な年である。 1964年 年末に「至上の愛」(A−77)を録音、スミソニアン博物館にも所蔵される事になる逸品。 65年の年初めにまずVan Gelderスタジオで録音をこなし、ライブ演奏やスタジオで録音をしたのが当アルバムに収まっているのだが、続いて6月にはあの芸術の極みの「アセンション」(A-95)、個人的に言えばジャズの代表として玄関に飾りたい。モトエ。 ニューポートに出演し、その後、7月8月でフランス・ベルギーにツアー敢行。 帰国後また、録音、出演を繰り返した。 そして、ついに66年、日本へのツアー。 休む間もない活躍である。しかもその間に重要作品を世に出すのであるから、いかに苦労があったかが偲ばれる。 これでは身体が持つまい。 やることをやってしまおうとするかのような勢いであった。
それで、この作品、最初メリーポピンズのチム・チム・チェリーの聴き易さで好きになったものの、やがて私はコルトレーンがこんな曲を演ってエラく、ミーハーに思えた時もあった。 しかし、聴く程になるほどなあという所に落ち着いた。 しかし、思えばこのアルバムの辺りのディスコグラフィーを見ていると、NATURE BOYはなんと3回も演奏しており、何か苦労があったのかと良く聴けば、この曲だけJIMMY GARIISONとART DAVISの2ベース。 この曲の重厚感を出すのに苦労したのかと。 また、最後の曲のSONG OF PRAISEの始まりはJIMMY GARRISONのベースの長いイントロがVILLAGE VANGUARD,AGAIN(AS-9124) のイントロを思い出させ、なんとも切ない。
という意味において、はやり繋がるところはいくつもあり、聴いていて興味は尽きない。 インパルスもレコード会社、商売ゆえにいつも録音順に出すわけでもない。しかし、演奏の日にちを追いながら聴けば面白い事だらけである。
特にモノラル盤のジャケットは上部がSTEREOの文字を出すための空間がないので、写真と文字がビシッと締まって落ち着きが良い。 インパルスのレコードも良いなあ。
いや、レコードって本当に良いよね。
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BUD SHANK LEN MARCER STRINGS “I’LL TAKE ROMANCE” | - 2017/10/30
- BUD SHANK LEN MARCER STRINGS “I’LL TAKE ROMANCE” MUSIC LPM 2052 (ITALY)
このアルバムの事は何年か前に一度書いた、だが、パシフィックのイタリア・プレスなどと安易なことを書いたら、購入された方が、買った後に、おっとりと「あの、こちらがオリジナルですよ」。 という事で、大いに反省し、再度入荷の節には、日記に上げることにしていたのだが、何年もの間なかなか入荷することが無かった。 やっと今回入荷に至った。
1958年イタリア人によるストリングをバックにバド・シャンクの楽団が演奏したものである。 ストリングスがLEN MERCER STRINGSとなっている。 このストリングこそ、チェットのCELSONの名盤ANGEL EYES(SINGS & PLAYS)(1959年) のバックのストリングスである。 なかなかの素敵な楽団である。 MUSICレーベルのストリングを沢山演っていたらしい。
ライナーにも書かれていないのだが、ストリングスのバド・シャンクのメンバーが演奏したもので、ピアノはClaude Williamson(クロード・ウイリアムソン)でオーボエが入っている所をみるとBob Cooper(ボブ・クーパー)かと思われる。 楽器の音が沢山有るので、判断は付きにくいが、一人で沢山楽器を扱う人ばかりなので、そんなところか。 その彼らが、イタリアの名門レーベル、ミュージック・レコードにおいて、作品を作った事は意味深い物がある。 ストリングも入れてもらい、さぞ嬉しかったであろう。 ヨーロッパのストリングスはなかなか上手い。 聴いていて飽きる事はない。
演奏曲もスタンダードが多く、「I’ll take romance」「Smoke gets in your eyes」「Embraceable you」等々しっとりした良い曲ばかり、それを甘いストリングが支え、そこにここぞとバド・シャンクがフルートを吹くところが粋である。フルートだけではない、またここぞといういう時にはアルトサックスに持ち替えるのも聴く人を飽きさせず素敵である。
イタリアの録音は風情ある演奏には向いているので、それも良い。 ストリングス物が嫌いでなければ、とても良いアルバムである。
ジャケットは恋人が森の中を歩いている写真。 2人はコートを着て相合傘で、親密な様子。 森の中の木の幹や葉に隠れてしまうほど、二人だけの世界だと言っている。 なかなかムードのある写真である。 音楽と言い、ジャケットと言い、流石にイタリアの音楽センスに感心してしまう。
このアルバムもチェットのアルバムと同様にJOKERから再発が出ているのが面白い
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