HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

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ナルシス
2017/05/19

新宿の近所の店。

かつて新宿は新しい文化の街であった。
ファッションなどはもちろん、安保闘争も最後の大舞台は新宿であり、フォーク集会も西口であった。
本屋の「紀伊国屋」、映画館の「新宿文化」、クラシック音楽と文化人があつまる「風月堂」、いくつかのジャズ喫茶やレコード店、それはそれは実に面白い街であった。

そんなアナーキーかつ激しい街の名残を感じさせてくれる店は「ナルシス」。
ママさん一人で切り盛りしている。
歌舞伎町のど真ん中にいるのが、私が推薦したい最も大きな理由である。
一度、歌舞伎町で営業して怖くないかと聞いた事があるのだが、ママさんはにっこり笑って、女だし歴史は古いし、音楽もジャズなのできっとそれで済んでいるのだと言っていた。
なにしろ、私もナルシスを出たところで、やくざと間違われて挨拶されてしまったような怖い場所なのだ。
ビルの他店は性風俗と見て間違いなく、向かい側が看護婦の看板が描かれているものの医療関係ではなさそうで、付近も入る瞬間を知り合いに見られたら心臓が止まってしまいそうな店ばかり。
入る前の不安感、入った後の満足感、という店ばかりとでもいおうか。
それなのに、凛々しくここで店をやっている事がすごい。

店は夕方5時頃から深夜12時までの営業で、ほぼバーになっているのだが、そこはジャズ喫茶と言う通り、コーヒーと言えば、そこはそれ、ゆっくりコーヒーと音楽を味わっていられる。
ママさんはフリージャズに明るいので、話を聞きたい方にはお薦めしたい、勿論、フリー系が苦手な方には無理強いする事もない大人の対応なのもうれしい。
場所は歌舞伎町の真ん中を歩いてコマ劇じゃなかった、ゴジラの映画館に突き当たったら右に曲がって、50〜100メートルも行った右側の小さなビルの2階。
ど派手な看板群の中にあって、地味目な看板を見落とさないように歩きたい。

「時移り事去る」という世の中にあって、いつまでも変わらずに元気で営業して欲しいものである。

とんかつ
2017/05/18

新宿の近所の店 食べ物屋の続きで。

とんかつ「にいむら」。
とんかつのにいむらはこの付近だけで4軒もある。
当店の近く西口に1軒、歌舞伎町にとんかつ屋1軒、しゃぶしゃぶ店が1軒、そして大久保に1軒。

ここのカツはサッパリしているのが売りである。
それもそのはず、一度揚げた物を、もう一度オーブンに入れて焼く。
どうしたってトンカツはラードで揚げないと美味しくない、しかし、今時の人にラードの油は後がキツイ。
それを解決した社長のアイディアはエライのだ。
それで油を落とすという仕組み。
中々の芸の細かさである。

店の自慢はその都度、背の低い会長が写真を持ってテーブルを廻るので、今は何が自慢なのかよく分かるという具合。
ちょっと前は、ハリウッド・スターの「トム・クルーズ」が店の前に来た所を並んで写真に撮ったのが自慢だった。中には「オジサン、僕は7回目だからもういいよ」などと客から声が掛かるほど。
その前は北島三郎との写真を見せて歩いていたものだ。

しかし、自慢はマダ他にあって、コマ劇場があった頃、美空ひばりが出演中は、必ず電話が掛かって来て、ヒレカツの注文があり、楽屋に届けたものだという伝説の話。
サブちゃんも同様である。
そうそう、その間には小泉元首相とのツーショットもあったわい。

とんかつ以外の自慢が多いのも面白いが、真面目な話、客の中には有名店のある目黒からわざわざ新宿まで食べにくる方もおられるほどである事は間違いない。

当店の近くにもあるので、興味ある方にはご案内したい。
メンチカツ800円位は御馳走するつもり。



(写真は、ひばりちゃん贔屓の普通のヒレカツ)

新宿の近所の店 (カレー)
2017/05/17

新宿にいると、時々食べたくなるものが幾つかある。
まず、中村屋のカレー。

日本の初登場と言われたカレーは、昭和2年からインド人直伝の味わい。
店舗を改築してからは、なんだか以前に増して客の数が増し、昼ごろはその歴史にも詳しく、戦中戦後を生き抜いた当時の味を知る人たち、要するに年配の人達がずらっと並ぶ姿は壮観であり、ある意味恐ろしいものがある。

日本に於けるカレーライスの原型でもあるので、興味のある人は行かれると良いと思う。
今食べても、凝り過ぎず普通に美味しい所がミソである。

その店内の奥に鎮座するのがこの彫刻。
荻原守衛(碌山)のブロンズ「抗夫」。
歴史を思いながら食べるカレーの美味しさよ。

マッキントシュの昔のアンプ
2017/05/16

マッキントシュの昔のアンプ、真空管のアンプである。
プリアンプ C−22
パワーアンプ MC−30 2台
わけ有って、しばらく前に私の所に来た。

私はマランツの7と8bが気に入っているので、そのまま置いてあったのだが、急に思い立ってちょっと聴いてみるかと接続した所、ノイズも出ていたし、妙に低音がボコボコした、あまりパッとしない感じであった。
それで、知合いの修理屋さんに持って行ったところ、中を調べてC−22は真空管2本交換、掃除、オーバーホールなどで何とかなるのだが、MC−30の方は2台とも中身のパーツがほぼ日本製に替わっていて、真空管もどこの物が分からないような安物が付けられていると、しかも、ヘタっている真空管もあるぞと。

以前のオーナーの話によると、それなりに名の通ったショップであるが、良く調べてみると、そこはオリジナル部品等には全く拘わらないショップだったようだ。
それにしても古いものはそれなりに尊敬の念は持っていてもらいたいのは人情。
しかし、それにしても部品を取り換えて、使えるものを売ってしまったのだろうか?
と疑わざるを得ないような修理の仕方。

それはそれで済んでしまった話。
「直すとなるとかなりの修理費になるのだが、どうしますか?」
一瞬躊躇すると「もう一つの方法はそのまま、売ってしまう手もある」という話であった。
しかし、私としては他人の手に渡るにしても、1955年から数年モノラル・アンプとして作られたせっかくの名器、本来の実力のアンプにしてあげないと、私の良心が許さない、安心してあの世にも行けない。
という事で修理屋さんも、さっそく手を尽くしてパーツ探しと修理をしてくれた。

それが、ようやく最終のランニング・テストも終わり、無事帰還。
繋いで見た所、随分素敵な音に変っていた。
ここから色々やる事はあるにしても、オジサン満足。
こういうところが、中古の醍醐味というのだ。

古いスポーツカーもこんな感じだなあ。

CURTIS FULLER “NEW TROMBONE
2017/05/14

CURTIS FULLER “NEW TROMBONE” PRESTIGE 7107 (USA)

これは私が好きなアルバム。
ジャズ好き、特にブルーノートなどを中心としたハードバップ好きに取って、トロンボーン奏者の中でカーティス・フラーこそ英雄である。
なにしろハードバップのトロンボーンの中で断トツのノリなのである。
この作品がなぜか、彼の初リーダーである。

ハードバップの作品・演奏者の中で特に57年時に活躍した人の事をレジェンドと言うならば、彼は正にぎりぎりで間に合った人である。
ディスコグラフィーを見ると彼は、なぜか突然のように57年から録音が始まる。
New Jazz NJLP 8277 Curtis Fuller With Red Garland
Blue Note BLP 1567 Curtis Fuller - The Opener
Blue Note BLP 1572 Curtis Fuller, Vol. 2 - Bone And Bari
Regent MG 6055 Curtis Fuller, Tommy Flanagan - Jazz...It's Magic!
Blue Note BLP 1583, Curtis Fuller, Vol. 3
そして
59年のBlues-Ette (Savoy MG 12141)
どうだ??? と世の中に己の存在を示したのだ。
毎月のように録音があり、どれもハードバップの真髄のような作品ばかり。
驚く新人の出現だったのだ。
なにゆえに57年からだったのかと言うと、55年まで軍隊にいたらしく、除隊してちょっとだけユセフ・ラティーフのバンドにおり、それでデトロイトからニューヨークに出て来たのが、トントンと話が進みいきなりの活躍となった。
と言う経緯である。

その彼のスタートの作品がこれ。
このアルバムは汽車に乗ろうとプラット・ホームで電車を待っている写真である。
彼がこれから出発をする瞬間、それはあたかも、電車とはすなわち成功の電車に乗ろうとしているところである。
駅は出て行く場でもあり、帰ってくる場でもある。それはその人、その時の事情である。
しかし、人の何かの動きの拠点でもある。
という事を思えならば、じつに良い瞬間をとらえた写真である。
主人公が上がって行こうとしているか、落ちて行く所なのか、それは見る人の委ねられる。
それが、わざわざこの小さな駅のホームに楽器ケースの下げた黒人の青年が立っている。
それだけではない、線路は急激にカーブしており、それが彼の ここからの別れをどう示しているのか?
この写真が何か、私の心に訴えかけるのである。
本当に良い写真である。

ところで、何処の駅なのか考えた。
ひょっとするとヴァンゲルダーのスタジオの近くのハッケンサックの近くの駅かと思い、グーグルマップで探したのだが、上に水道が通っているか、また駅の横でカーブする電車の線路が見つけられなかった。
一度、ニューヨークにでも行って探してみよう。
いや、探さなくては。

テレビのCMで
2017/05/13

家庭教師のトライのCMがすごい状況、なんとあんな良い子はどこにもいないだろうと思われていた、あの「アルプスの少女」のハイジが勉強をしない子供であることがバレてしまった、という。
おじいさんに勉強しなさいと言われると「心に直接語りかけないで!」と叫ぶような、手に負えない子供であったと。
私など大ウケにウケで喜んで見ていたら、最近は、青森弁のパターンも出てきて、崖に落ちそうになったハイジを家庭教師が引き上げながら「ラッセイラ」とあのネブタ祭りの掛け声であるという、なんともやりたい放題。
いやいや、目が釘付け。

CMといえば、この間、クルマで東名から関西方面を運転した時に、あのサラ金の過払い利息の法律事務所のCMがラジオから流れてくるのだが、「三重県ですが新宿事務所」、愛知県に入ったら「愛知県ですが新宿事務所」、静岡県に入れば「静岡県ですが新宿事務所」と県ごとに小まめに流すCMを聞いた。
その細かな仕事ぶりになぜか、いたく感心してしまった。

名古屋なのに新宿という、アイディアも面白いのだが、よくここまでやる人もいるもんだ。

意思なきところに道はなし
2017/05/12

親戚の女性が近くで行政書士の事務所を開くからと、友達と一緒に下見に来た。
私も混ざって話をしていたら、仕事にも相当頑張って来た方のようで、座右の銘は
「意思なきところに道はなし」というのだそうだ。
英語で「No Will, No Way」

良い言葉である。

思い続けなければ、願いはかなわないのである。

感心した。


人それぞれ
2017/05/11

レコード関係の人と話をしていた時、その中の一人が「アメリカに行くとレコードが手に入るんですか?」
それを聞いたアメリカに詳しいという人が「いっぱいありますよ1ドルから5ドルで」
じゃあ、行こうかなと勇んでいた。
それで、私がアメリカのレコード屋で売っている物は傷だらけの物が多いけど、それでも良いかと訊くと、全くかなわないと、それで十分良いのだと。

レコードに傷があってジャケットもボロボロでも構わない人もいる。
そうかと思うとアメリカからわざわざ、アメリカには綺麗な物がないからと、日本に買い物にくる人もいる。

人は千差万別。
面白いものだ。

今朝の新宿
2017/05/10

今朝の猫は姿勢がちょっと違っていた。
いつもは大体「香箱座り」か。若しくは寝ているのだが、今朝はなぜか片手を下している。
中々見ない光景に散歩の途中のジジ、ババも3人ほど足を止めて、見入っていた。
「汚れていないから、飼い猫ですかね」などと訊かれたので、
「いいえ、立派な野良です」と答えてあげた。

皆さん野良でも可愛いと思って見に来てくれていると思うと、嬉しくなった。


節句
2017/05/09

孫の初節句。
鯉のぼりでも買ってあげようかと聞いたところ、マンション住まいは鯉のぼりなど上げられないから要らないと、自分で小さな鯉のぼりの飾りを買ったようだ。

昔は、節句になれば東京でもあちこちの家の庭に鯉のぼりが風になびいたものだ。
しかし、最近はそんな光景もまず見ない。
日本という国の、いや東京において、永永と築いてきた人の過去の習慣を一遍に消滅し、そうかと思うと、他国のカボチャの変装などせっせと真似ることの貪欲なエネルギーはどこからくるのか。

これは一体どういう事なのであろうかと考えてしまった。


五月の鯉のぼりといえば。

  江戸っ子は 五月の鯉の吹流し 
     大口たたいて 腹わたは無し


一見江戸っ子を小馬鹿にしたような言い方だが、そうではなく、腹黒くないという言い方でもある。
ま、そのとおりに取ってもなんら問題はないが。

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