SONNY CRISS “UP, UP AND AWAY” | - 2017/01/29
- SONNY CRISS “UP, UP AND AWAY” PRESTIGE 7530 (USA)
当時、私が新譜で購入した数少ないアルバムである。 裏ジャケを見たら67年12月発売となっているのだから、間違いない。 日本に輸入され店頭に並んだのが68年頃だったのだろう。 なぜ購入したかというと、知合いがUP UP AND AWAYがむちゃくちゃカッコ良いと言われたから。
60年代後半 私はジャズももちろん聴いていたのだが、もう一つR&Bにもハマッていて、そっち系のクラブにも踊りたい事もあって通っていた。 R&B系のファンはジャズファンなどと異なり、相当やんちゃ、いや活発な若者で、喧嘩やナンパなど当たり前のというか元気なわけ。 それで、「UP UP AND AWAY」と「SUNNY」の2曲が決め手となるわけだな。
このアルバムは 実はジャズ編とソウル編の2部に分かれていて、それを一枚に収めているのだが、特にここにおいてはソウル系が際立つわけだ。 重ね重ね言うと「UP UP AND AWAY」と「SUNNY」の2曲が良い。 それがなぜか両面の冒頭に来て、この作品のイメージをつくる。 それ以外はジャズのスタンダードなど順当かつ非常に立派な彼の代表的な作品群である。従って、今更なので省く。
カッコ良くてシビれてしまった2曲は、重要な作品なのでしっかり聴いて、場合によっては踊って頂いても可である。 「UP UP AND AWAY」は改めてネットで調べてみると67年5月にリリースされビルボードでベストテン入りを果たしたとなっている。 当時私の記憶でも、そのまま日本でも大ヒット。 連日ラジオどころでは無く、テレビでも流された。 ただマニアは素人と違ってテレビで流されたフィスス・ディメンションには興味は失ってしまったのだが、それそこは好き物だから、やっぱり気になっていたのがソニー・クリスが出したという事で小さなコミュニティーの間で評判になった。 そのくらい立派で本家に負けない作品であった。 本家はというと 「あたしと風船に乗りませんか? 上へと 遠くへと....」等とエッチな事を連想させた男女混成の柔いコーラスなのだが、こちらのソニー・クリスの方は相当にハードでしかも、彼のサックスがキラビヤかでタフなサウンド、更にシダー・ウオルトンのピアノも硬質な音で、いかにもやってやろうじゃないかと言う気構えが伝わってくる。 いやー、本家がリリースしたその年にもう録音していたとは、なんというカッコ良さ。 そして「SUNNY」。これは66年のR&Bの大ヒットで、私も大好きなBobby Hebbが歌っていて、なんど聴いても聞き飽きない曲であった。これも入れたのは有り難かった。だがSUNNY方はまるでジャズの曲として入れられているのが不思議なほどだが、もっともその後、多くのミュジシャンがカバーしそのアルバムは膨大にあるので、べつに驚くほどの事は無い。
というわけだが、ソニー・クリスは、廃盤市場に凄い価格で君臨する凄いアルト・プレイヤーである。 どの作品を聴いても その音色にしびれるなあ。
|
|