HAL'S DIARY
オーナーのひとりごと。買付けの裏日記など。
きまぐれに更新しています。

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PHIL WOODS-GENE QUILL “PHIL TALKS WITH QUILL”
2016/10/06

PHIL WOODS-GENE QUILL “PHIL TALKS WITH QUILL” EPIC LN3521 (USA)

今回の通販リストの掲載したアルバムの中で、私が最もはじめに売れて行くだろうと思った一枚がこれだった。
しかし現実は、そうは己の立てた筋書き通りに行かなかったのである。
だが、いまだに直ぐに売れなかった事が不思議でならない。
しかし、マーケットと売り主の読みがいつも一致するとは限らない。
いや一致しない方が多いというものである。

さて、アルトサックスが向い合せに写ったこのジャケットの主人公はフィル・ウッズとジーン・クイルのふたりである。
フィルとクイルの会話、という通り、2人が息を、いや「粋」を合わせた作品なのである。
一曲目から見事な演奏が繰り広げられる。
実に立派なジャズである。
フィル・ウッズがプレステイジに傑作が少なければ、この作品は間違いなく大傑作として挙げられたに違いないが、しかし、多作でもある彼は名盤と呼ばれるものがいっぱいあって、ましてプレステイジなどという名門の方に分がある事は致し方が無い。
しかし、冷静に聴いて行くと、この作品も負けず劣らず素晴らしさがある。
この二人は57年に一年間ほど一緒に演奏していた白人ジャズ・バンドである。
都会の子らしいハキハキした、気持ちの良いサウンドである。
ニューヨークにおける、ジャズの絶頂期の中にあって、白人バンドとして気概を見せた作品となった。
そういう意味でも実に興味が尽きない。

気持ちの良い、聴くほどに引き込まれる作品である。

HAN BENNINK − WILLEM BREUKER “NEW ACOUSTIC SWING DUO”
2016/10/04

HAN BENNINK − WILLEM BREUKER “NEW ACOUSTIC SWING DUO” ICP 001 (HOLLAND)

今回の入荷はちょっと凄い。
ICPの一番。
このアルバムは、初期に作られたジャケットが手書きであるのだが、そのバリエーションがいくつかある。
まず、ハン・ベニンク直々の手書きジャケット。
次に、相方のブロイカーの手書き(手作り)のジャケット。
スタッフの手書きのジャケット。
家族の手書きのジャケット。
という風になるが、一番多いのが、絵の勉強もしていたハン・ベニンクの物が多いのは致し方が無い。
ブロイカーの手による物は、彼の印でもある「象」のスタンプを押したものが出てくる。
象のマーク付きは、数的にはそれほど多い訳ではない。
しかし、押し方に色々バリエーションがある。
中央に一個しか押して無い物もあれば、ベタベタを押してあるのもある。
しかし、今回のように一面にびっしり押したものは珍しく、しかも、それだけに収まらず、なんと右下に、手書きで「MADE IN JAPAN」と書いている。
なんとも不思議なジャケットである。
これをオランダで仕入れたのである所が、面白い。
しかし、こんな物は初めて見た。

ブロイカーはアフリカ象が好きだったようで、しかも、自分のサックスのサウンドを象に見立てているのだ。
格別の想いで象のスタンプを使っていたようだ。
しばらく前に、その彼も亡くなった。

見ていると、色々想う所がある。

白内障手術のあと
2016/10/03

術後、しっかり左目を覆っていたガーゼを外されると、まあ、なんという事でしょう。

私の周りの景色の色がこんなに明るかったのかと。
左目は以前のそのままなので、片目を交互につぶってみれば、一目瞭然。
右目で見る、白い色は、あくまで白い、という素敵さに感謝。

しかし、鏡をみれば己の顔はkれほど皺が多かったのかと驚愕することになる。
先生に聞くところによると、あまりのショックに、手術したからシワが増えたのだと、眼科医に噛み付く、図々しい人もいるらしい。

ま、いずれにしても目の前の景色が驚愕のクリアさである。
テレビなど買い替えの必要がない。

CHET BAKER “PLAYBOYS”
2016/10/02

CHET BAKER “PLAYBOYS”  WORLD PACIFIC  PJ-1234 (USA)

珍しい一枚が入荷。
こういうものは何となくというか、無条件で嬉しいなあ。

セミヌードの女の子がぬいぐるみを両手に持ち、胸のあたりをそれとなく隠している写真である。
ちょっとエッチっぽいのだが、女の子の笑顔が明るくてセクシーさはあまり感じさせない。
髪もポニーテールに結んでいて当時の十代の女の子のような様子である。
がしかし、胸の谷間に目がいってしまうのは、致し方ない。

なぜか、ジャケのタイトルが「プレイボーイ達」という。
そのプレイボーイとはチェット・ベイカーとアート・ペッパーだと中央に書かれている。
なるほど、当代随一のモテ男たちである。

タイトルは当時の男のための雑誌、PLAYBOYと同じ字体になっているのも、我々オールドスクールのオヤジにおいては、まさにストライク。ジャズのジャケット・デザインにしては、なんと明るく・セクシーで洒落たデザインだろう。
考えると西海岸の明るさがそうさせたものだろうか。

演奏は見事に西海岸の演奏で、サウンドも洒落たものだ。
メンバーを見ると、Chet Baker (trumpet)、 Art Pepper (alto)、 Phil Urso (tenor)、 Carl Perkins (piano)、 Curtis Counce (bass)、 Lawrence Marable (drums)とくれば、ロサンゼルスの一流所である。
録音は1956年であるから、もっとも充実していた時期であり、またペッパーも文句のない頃である。
ロスのトップクラスの二人が揃ったのであるから、当然と言えば当然の演奏である。
淡々とした中に、ジャズの楽しさ。カッコ良さがこれでもかと現れてくる。
いつまでも聴いていたい好演奏である。

しかし、最近はこういうアルバムのオリジナル盤には なかなか出会う事がなくなった。
考えても見れば、いまから60年も昔のものだ。
無いのが当たり前でもある。

しかしレコードというものが、これほど丈夫で長生きするとは思わなかったなあ。



CHET BAKER “CHET”
2016/10/01

CHET BAKER “CHET” RIVERSIDE 12-299 (USA)

なんと素敵なアルバムであろう。
ジャケット写真はチェット本人だという。
なるほど映画の出演話があったと言われる通り、頷く事が出来るハンサム・ボーイである。
淡い暖色系のセーターを来て、上品さを強調したチェットはちょっと斜めに構えている。
そこに後ろから妙齢の美人が、すがりつくのか、溢れる愛を表現したのか、肩に顔をもたせかける。
これ以上の愛の雰囲気を出したアルバム、それも本人が出演した、男女の愛の作品はない。
素敵である。

裏をみると、ずばり「チェット」と書かれている。
シンプル・イズ・ベストと言わんばかりの自信に溢れたタイトルで、気持ちが良い。
サブタイトルが付いて居て、チェット・ベイカーによるバラードだと。
それ程の自信なら、聴いてやろうじゃないの!
と冒頭から針を下せば、いきなりビルエバンスの上品なイントロ。
すぐに柔らかな洗練された音色のチェットのトランペット。
向こう側でなるベースとシンバル。
落着いた所に、あのゴリゴリ音で有名なペッパー・アダムスのバリトンなんだけど、これがまた風情たっぷり。
それを受けてフルートのハービー・マン。
直ぐにかぶさるチェットに、ペッパー・アダムスなど、順々に音を重ねる。
流石にバラードだと、バーンと書き出しただけの事はある。
ムードに流される事なく、さらっとしたシンプルでクールなサウンドは素晴らしい。
そのまま、最後まで聴き切った。
良いレコードだ。

チェットはジェリー・マリガンと演奏し始めた53年から、パシフィックジャズで結果を出し、55年のパリ初めヨーロッパでも好演奏と、演奏活動は精力的に続く。
しかし、57年ドラッグの影響で入院・治療と半年ほど休み、ほぼ一年間休息を取り、その後の58年からリバーサイドと契約を結んだ作品のいくつかの一つで、この頃もまたどれも取っても感心する出来栄え。
50年代はチェットの為にあったかと思える程の活躍である。
当時、ヨーロッパの若者に非常に人気が高かった事も理解できる。
雑誌やブログでこの辺りの作品を女性受けを狙った作品として紹介されているのを見るのだが、それだけでもあるまい。欧米のリスナーには男性でもムードのある曲を好む人が非常に多いという事を理解しよう。
そういうオジサンもムードのあるバラードは大好きだな。
毎晩、一曲は聴いちゃうな。

かつて若かった頃、こういう作品を私は軟弱として敬遠していたのだが、50歳くらいの年齢と共に、だんだん好きになり、やっと理解できるようになった。
大人になったのだ、と思う事にしている。



白内障の手術をした。
2016/09/30

なぜか右目だけの具合が悪くなり、遠くがほとんど見えなくなり、その代わりに至近距離だけが見えるようになったのだ。左右ガチャ目でどうしようもない。
車など運転しても右側が見えないせいか、非常に危ない。
それで見て貰ったら、水晶体が固くなっていたので手術になったのだ。

さて手術。
当日は種々の目薬を朝から数回さして待機すると、看護師が呼び出しにきて、転ぶ人がいて危ないからと車椅子で運ばれる。
エレベーターに乗るとほどなく手術室へ、部屋を見ると、中には沢山のスタッフがいるので、私の手術はそんなに大変なのかと驚く。
まぶしい大きな円形のライトがかぶさっている、正にテレビドラマに出てくるような、立派な手術室。
それだけで、私など心がスクんでしまう。
ベットに寝かされると、手術衣に身を包んだ先生は、今まで診察してくれたざっくばらんな あの先生かと思えぬ、威厳に満ちている。
手術する右目を残し、顔全体を覆われる。
さっさと仕事は進行して、始めますという声と共に、猛烈に明るい光が近づく。
光は過度に明るく、ふわっとして虹が見えたり動いたり、ある意味、非常に幻想的でもある。
先生が「黒い3点が見えますから、それをずっと見て下さい」と。
動かして他を傷付けられたらいけないと思い、必死に点を見る。
メスが見えるかと思ったが、近すぎて、全くそういう気配はない。
時々、何かが動いている気配がある。
「いまから少し圧迫感がありますよ」などと言われ、少しは不快感があるものの、別に痛い訳でもない。
緊張しているせいか、担当の声で、血圧140などという。
それを聴きながら普段は105くらいなので、自分でも心配になる。
緊張しないで下さいね。と言われても無理というもの。
ある意味、歯医者で苦しい中治療を受けているのと、あまり変わらない。
「あと10秒ですよ」と言われてから1分かたっただろうか。
終わりました、と解放される。
車椅子に乗せられ、ベットに連れて行かれ、一時間は上を向いたまま休んで下さい、という事になり、そのままうつらうつらしていた。
そして、そのまま、一晩泊まった。
目はゴロゴロしていたが、夜には違和感は無くなった。
手術が私は20分くらいは掛かったような気がしたが、患者によっては あっと言う間であり、何でもないと言う強い人もいるそうで、受け取り方は人それぞれだと。

翌朝、先生に見せに行ったら、いつもニコニコしている先生が、いつもの通り「はい、順調ですよ」。
「ホっ」。

手術の先生はカッコ良いわ。
惚れてまうがな。
先生ありがとう。

彼岸花
2016/09/25

新宿の公園を通りかかったら、見事な彼岸花。
立派に咲いていた。

最近、こういうのを見ると、自分もこの世から遠ざかって行く事を感じるようになった。
この世の事に、あまり執着が無くなった。
どうでもよいと思うようになってきた。
片方で、ジャズの事とか、店の事などは、まだもう少し何とかしないといけないと言う気持ちはあって、妙に執着心があったり、不思議なものだ。

まあ、いいか。

しかし一年一年、季節は巡ってくるものだ。

PEGGY KING “LAZY AFTERNOON”
2016/09/24

PEGGY KING “LAZY AFTERNOON” IMPERIAL LP9078 (USA)

なんと素敵なアルバム・ジャケット。
ファッショナブルでなんと美人だこと。
本来、有名な美人テレビ・スターでもあったのであるから、写真は間違いなく彼女本人であろう。
しかし、それにしても良い雰囲気なファッションであろうか、それで裏のライナーを見て見ると、下の方に書いてある、帽子はREXというビバリーヒルズのショップ。
ブレスレットはTIBORというこれまたビバリーヒルズのショップ。
なるほどビバリーヒルズの高級店から借りて来たものだったのだ。
ちょうど、Pat MoranのThis Is Pat Moran (Audio Fidelity)のジャケットのピアノの鍵盤に乗せられた、美しい足の写真にある赤い靴と同じやり方だったのか。
あれは靴のメーカーが、大量生産で皮に刺繍を施す事ができるようになったので、その宣伝を兼ねたスポンサーになったものらしい。

1050年代、当時、すでにメーカーやショップが写真のためのグッズの貸し出しをしていたのだ。
アメリカははやいなあ。しかし、勉強になるなあ。

という訳で、このジャケットがファッション的に素敵な事がわかった。
しかし、なんという素敵な帽子だろうか。
オジサン、見ていて惚れ惚れしてしまった。

そうそう、唄の方、これまた可愛らしくて良い感じ。
「You’ll never know」「Imagination」など優しく唄って聴かせてくれる。

ホテル
2016/09/23

今回、サンフランシスコで泊まったホテルはユニオン・スクウェアの近くの場所だった。
ユニオン・スクウェア辺りが最も高級な場所なので、悪くは無ないと思っていた。
まあ、ちょうどオラクルの世界大会があったようなので確かにホテルはどこも満室であった、それでも、価格もまあまあで場所もまあまあだと思い、COVAホテルという所にしたのだ。
だが、ホテルに到着し部屋に荷物を置いて外に出て歩いて見てびっくり、とてもひとりでは歩く事が出来ないような場所。
昼から酔っ払いやら、浮浪者やら、ラリッているような大声で叫んでいる人たちが、うじゃうじゃいる。

まさか、あの天下にとどろくユニオン・スクウェアの隣がそんな街だとは思わなかった。
友人の話によると、入り口あたりが金網で覆われているような地域は良いところではないから、気をつけるようにという話であった。

おそるべしアメリカ。
奥が深いなあ。

アメリカン・コーヒー
2016/09/22

かつて私がアメリカに旅行に行き、飲んでいたコーヒーは他国からアメリカン・コーヒーと呼ばれた実に薄いコーヒーであった。
かつて会社の出張で数人で止まったホテルの朝食で、「おい、これはコーヒーなのか?紅茶か?」と顔を見合わせてしまったほどである。
まるで紅茶かと間違った事もあるほどの薄さであり、その淹れ方はパーコレーターで少量の豆を煮出したものであった。

しかし、昨今のコーヒーはかつての薄さはなく、通常我々が飲んでいるところのコーヒーと呼ばれるところのコーヒーである。

どうしてこうなったのかと良く考えてみると、どうも近年流行って来たスターバックスのコーヒーのせいではないかと思うのだ。
あれのせいで、何処に行っても、スタバのコーヒーなのだ。
飛行機の中のコーヒーまでスタバと書かれていた。

あんなコーヒーは最低の方の珈琲なんだから、楽しくないよ。

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