FRANK SINATRA “IN THE WEE SMALL HOURS” | - 2016/08/03
- FRANK SINATRA “IN THE WEE SMALL HOURS” CAPITOL W581 (USA)
昨日の日記のシナトラのアルバムの事をやっぱり書いておこう。 霧に消えていきそうな夜の静寂の街角、街の灯りも青く沈む。 シナトラ本人が煙草を手にし、深い想いに心を痛め、彼の心もまた闇の中沈んでいるかのような絵である。 見ていて痛ましい気持ちになる。 分かるかって? 分かるさ、我々もまた辛い心の人々なのだから。
さて、アルバムの一曲目、「In the wee small hours of the morning」. 昨日書いた通り、午前1時から3時までの間のミッドナイトという時間。 一日の中で、もっとも静かで、みんなが昼間の疲れを癒し眠りについている時間、ある者には最も幸せな眠りの時間。その万人に与えられた「眠り」すら、私には与えられないと言うこの不幸。 明日の希望を育んでいるはずの深夜、それなのに、私にはその希望に託す何ものをも持てないと言う、なんという悲しさであろうか。
シナトラは男の愛の哀しさを歌うと本当に良い。 そういう意味でも、この作品はトップクラスである。 どの曲も訊いていて、頷ける作品ばかりだが、冒頭の「In the wee small hours of the morning」のあと、4曲目の「Deep in dream」などを聴くと、そのまま悲しさのイメージが繋がっていく。 見事とはこの事である。 ソファに沈み込んで動く事がない、火をつけては消すタバコの煙が空中に消えて行く情景が目の前に浮かぶようだ。
「上手い」と言える歌のアルバムは数あれど、本当に「良い」と言えるアルバムはそうそう、ある物ではない。
追加) 今回、シナトラ関連のアルバムが沢山入荷しています。 明日のリストにも掲載されます。
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