FRANK ROSOLINO “KENTON PRESENTS JAZZ" | - 2022/05/06
- FRANK ROSOLINO “KENTON PRESENTS JAZZ, FRANK ROSOLINO” CAPITOL H6507 (USA)
10インチ・アルバム
トロンボーンが主役のアルバムで飽きずに最後まで聴く事が出来る盤は一体いくつあるのか? そうそう、ないのであるが、そんな中にあって、これは立派な力作なのである。 トロンボーンのような音の茫洋とした低音楽器はどうしたって地味なのである。
このケントン・プレゼント・シリーズはかつて人気盤揃いで、BILL HOLMAN, BOBO COOPER, CLAUDE WILLIAMSON等、ウエスト・コースト・ジャズの王道として、音楽内容の水準の高さにもマニアの尊敬が集まったものであるが、なぜかは知らぬか、最近ちょっと人気はニューヨーク地区に譲る所があり、若干押され気味な感は否めない。ジジイは寂しいぞ。
ところで、ジャケットを見ると、トロンボーンを横座りのまま、天に突き上げているのは、いかにもラテンの国から来た男で、俺はビックだと大いに威張った姿は、日本の芸能マスコミに見つかると叩かれそうだな。 その通りジャズ・トロンボーンの大物でイタリア系のアメリカ人である。 ラテン系と言っても、ウエスト・コースト系ではラテン調の曲がないのかい?と聴かれれば、そこはそれ、ラテンの血というやつで、ちゃんと用意があるのだ。 B面1曲目の「ベサメ・ムーチョ」 実はこのアルバムの主役であり、真骨頂であるのである。 ベサメ・ムーチョと言っても、ムード系ではなく、まさにクラブ・ジャズのど真中。 コロナ感染も真っ最中に今更クラブジャズもないが、いやいや捨てた物ではない、ブームが去った今こそ入手のチャンス。 チキチキの8ビートから始まり、4ビートになりちょっと落ち着いてから、8ビートになって終わるという絵に描いたようなぴったりの調子である。 もう10年の前か... あの頃、イタリアの有名DJのニコラ・コンテさんが来店して、何かないかと言うので、これを棚から取り出して見せると、探していたレコードだと、大喜びであった。 そばにいたDJ達も、このアルバムがこんなにカッコ良かったのかと驚いていた。 あれから、10年ついこの間のような思い出話である。 他の曲はどうか? ハイハイ、A面から上品さと上手さが織りなすウエスト・コーストの好演奏が悪いはずはなく、何処を聴いても楽しめる。 その中で、ちょっとB−1は特に趣向が変わって良いと、オジサンは言いたいのである。
そうそう、メンバーはマックス・ベネットやチャーリー・マリアーノといった西軍の代表メンバーであり、特にマリアーノのプレイは溌剌として気持ち良く聴く事ができる。 最近はあまり、見かける事が無くなった通好みのアルバムである。
|
|