NINA SIMONE “LITTLE GIRL BLUE" | - 2021/12/09
- NINA SIMONE “LITTLE GIRL BLUE” BETHLEHEM BCP 6028 (USA)
NINA SIMONE “AND HER FRIENDS” BETHLEHEM BCP 6041 (USA)
私の好きな歌手。 沢山ある彼女の作品の中でも、最も代表的なレコードであるベツレヘム盤が2枚同時に入荷したので、これも何かの縁。
ベツレヘム(BETHLEHEM)というレーベルはそもそも白人ミュージシャンがずらっとライナップされ、レーベル名もなんだかキリストの聖地に因んでいて、個人的にはあまり好ましいと思った事は無かったが、それでも少しは黒人の作品も取り上げられていたのだが、女性ボーカルとなるとこれまた白人ばかり目立つのであった。 雑誌ジャズ批評のベツレヘム特集(2000年作)を見ると、評論家と言われるような方々が推薦した作品はほぼ白人の物ばかりである。2000年ですらジャズ・ファンと雑誌ジャズ批評ご用達の評論家達がいかにズレていたかという事である。2000年であるにも関わらず。 それが今や一番人気は「Dusty Blue/Howard McGhee」「Left Alone/Mal Woldron」「Daddy Plays the Horn/Dexter Gordon」「The Book/Booker Ervin」や、そして「Nina Simone」なのである。あ、そうだもう一枚「Motor City Scene/Pepper Adams」があるが白人だったが、それにしても、その推薦盤とのズレたるや想像もつかない。もっと前の評論家の中には彼女の事をゲテ物と書いた人もいるから、日本の差別も恐ろしいものがあった。今は良くなったが、まだ白人・金髪美女等と平気で書かれているのを見ると暗澹たる気持ちになる。そんな話は置いといて、モトエ
AND HER GRIENS(6041)の中の「African Mailman」という曲。これは彼女のピアノソロであるが、小気味よい演奏と言う事で須永辰緒さんの「ベツレヘムの夜ジャズ」というCDに収録されて、この盤も少しは注目を集める様になったのは良い事であった。
何より、書きたかったのは「Little girl blue」の事。 この曲はいままで幾多の歌手が歌ってきたであろうか?大物歌手もいたのだが、その中で断トツに出来が良いのである。 入りがちょっと低い声で、不幸に見舞われそうな女の気持ちを淡々と、歌って行く。地の底から湧き上がって来るかのように。 Sit there and count your fingers.....
彼女は子供の頃から人種偏見にも負けない無意識な公民権運動家でもあったのであろうか、それには言うに言われぬ哀しみもあったであろう、哀しみをトツトツと歌って行く、ブルースでもあり、教会の説教のような雰囲気でも、ある意味人々の絶望の垣根を越えた万人に向かって聞かせているようでもある。
ベツレヘム・レーベルでヒットしたのはこの曲ではなく、「Porgy and Bess」の方だった。会社はそれならば、出さねばならないと当アルバムを発売したらしい。 ジャケットの写真ももっと美しく芸術的に出来なかったかと思わない訳でもない、だってこの会社のジャケット・デザインはかなり高尚なものが多いから....。 その内に、やがてアルバムの方も人気になっていまい、人気は高まりリスナーの勢いに押され、次のリリースはまだかという事になりいかなる理由か分からぬが録音もままならず急遽、他の歌手と抱き合わせ「And, Her Friends」を発売したものであった。という事である。
まあ、いずれにせよ、世に出た事は素晴らしい。
という内容だが、掲載するはずのレコードが既に売れてしまった。 それで記載するのを止めようと思ったのだが、書いた内容を忘れてしまうのもイヤなのであえて記載してしまった。
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