ALICE BABS “MUSIC WITH A JAZZ FLAVOUR” | - 2021/05/09
- ALICE BABS “MUSIC WITH A JAZZ FLAVOUR” SWEDISH SOCIETY DISCOFIL SLT 33223 (SWEDEN)
大変立派はボーカル・アルバムである。 しかし、我々オールドスクールのようなジャズファンが聴いて楽しいかどうかは不明である、なぜならジャズ・ボーカルばかりとは言えないような所も無い訳ではないから。 しかし、バックは一流なジャズメンばかりであり、なぜか時代が変わり、当アルバムが欧州から日本のクラブ・シーンにおいて多大な貢献をした事も事実である。 と言うより、このアルバムに収められたたった一曲によってクラブ・ミュージックのトップクラスに持ち上がってしまったのである。 その曲はA−3のBeen to canaan キャロル・キングの曲なのであるが、非常に上手くやったと思われる大ホームランで、私も大好きな演奏である。 まず、Red Mirchell(レッド・ミッチェル)のベースから始まると、コンガがチャカポコ、すぐにRune Gustafsson(ルネ・グスタフソン)のギターと3者のイントロから彼女の歌が始まり、そのまま歌は続く。 やがてNils Lindberg(ニルス・リンドベルグ)のピアノ、Jan Allen(ヤン・アレン)のトランペット、Arne Domnerus(アルネ・ドムネラス)などの管楽器も綺麗なアンサンブルを聴かせると言うわけ。 ジャズ・ボッサのリズムの実にうまい演奏に聴いていてあっけに取られてしまう。 ジャズ・ボッサにのった声楽家の歌が、これほどうまく行くとは思いもよらない結果であった。
他にB-3 How about a bluesは、前者と同じような楽器構成と同じような進行で進む、ジャズ・ボッサではないが、すばらしい演奏で彼女の高音の魅力たっぷり。 A-4、Flow Gently,Sweet Aftonという有名な古いアメリカ民謡は、教会の音楽に厳かな雰囲気に続く名唱。 BラスのA hundred years from todaysは時々聴くこともある古いアメリカのヒット曲。なかなか素敵で聴かせる。
彼女の歌い方は正統的な声楽で、バックを支えるのはスエーデンの一流ジャズメンが集まって良い作品に仕上げようとしたことが良く伝わる、言って見れば日本で美空ひばりのアルバムを作ったような感じであろうか? ひばりちゃんは演歌風、アリスは声楽、という違いであろうか。だが、スエーデンのクラシック界を牽引する国の頂点に君臨するレーベル(Swedish Society Discofil)で作られたアルバムというだけでも聴く意味もあろうと言うもの。
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